「原子力映画解体」のためのメモ:『イエロー・ケーキ』再訪

本日も引き続き、10月6日の「原子力映画解体」のためのメモをさらします。今回が最後です。


ここ数日、再編集中だったYouTube版、再アップされたようです。映画みたいなクレジットが!

本日は再び『イエロー・ケーキ』を論じます。(当日は『イエロー・ケーキ』を再訪する前に、『第4の革命』と『チェーン・リアクション』も取り上げたのですが、僕はメモを用意できませんでした。)


          *


『イエロー・ケーキ』の39分あたりで以下のようなナレーション(字幕)があります。

ヴィスムートでは東独独自の健康診断が行われた
鉱員たちは自分たちが安全だと思っていた
だが普通の採鉱とは
違った危険があることはまったく知らなかった
ヴィスムート閉鎖後17年目に
ドイツ放射線防護庁は
ウラン鉱員に大規模な健康調査を行なった
結果は暗澹たるものだった
5万千人のヴィスムート鉱員の肺ガン発症リスクは
従来考えられた25年よりずっと長いと判明した

5万1000人を対象とした調査が行われたことはわかるのですが、リスク=危害の発生可能性、いいかえれば確率は、通常、長い/短いではなく、高い/低い、と表現されます。 高リスクの状態である期間が長い、という意味だろうか。もしそうだとしても、いまいちピンときません。  
一般論として、字幕というものは、実際に話されていることの6〜7割ぐらいしか訳されず、要約に近くなる場合もあると思われます。そうした問題なのでしょうか。


−−と、当日は字幕の翻訳者である渋谷哲也先生に直接聞いてみたのですが、発がん可能性がある期間が、従来考えられていたよりも長いことがわかった、という意味だとのこと。いまいち釈然としませんでした。
しかしながら、繰り返しますが、この映画はウラン採掘という事例によって、原子力をめぐる南北問題、植民地問題の現場を生々しく描いているという意味で、やはり観る価値のある作品だと思います。

Risk: A Sociological Theory (Communication and Social Order)

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