『この世界の片隅で』

シン・ゴジラ』と同じく、ある種の「原子力映画」と呼べなくもない。もちろん、「戦争映画」「反戦映画」でもあるのだが、「食映画」でもある。描かれる人々はヒロイン含めて、『シン・ゴジラ』のような政治家や官僚、科学者ではなく、『君の名は。』のような市井の人々なのだが、彼らは『君の名は。』の主人公たちのように華々しく活躍するわけではなく、ただ戦時という日常を過ごしているだけである。にもかかわらず、いや、それだからこそ、戦争や国家という大文字の物事への強い批評となっている大傑作。