『サラの鍵』

 午前中、がががっと原稿書いて、昼頃新宿へ。インド料理店で打ち合わせし、ディスクユニオンプログレ館でCD数枚購入してから新宿武蔵野館へ。今日は映画の日
 まずは『サラの鍵』を観る。パリ在住のアメリカ人記者である女性の主人公は、第二次大戦中のユダヤ人迫害について取材し始める。その過程で、自分の夫が祖父母から譲り受けた家には、収容所に送られたユダヤ人家族が住んでいたことを知る。
 そこにはサラという少女がいた。サラは家族とともに警察に検挙されるとき、弟を壁の物入れの中に隠した。「すぐに帰ってくる」と。サラたちは収容所に送られるが、彼女はそこをなんとか逃げ出して……主人公は存命の関係者を訪ね、サラの人生を少しずつ知っていく。彼女はその後どうしたのか? 生きているのか? そして彼女自身の人生も、それに呼応するかのように変わっていく。時代は1940年代と2000年代を行き来し、少しだけ60年代も描かれる。舞台はフランス、ドイツ(?)、アメリカ、イタリアと次々に変わる。
 主人公が知ったサラの運命は……もちろんここでは書かないが、プーリモ・レーヴィのそれを彷彿とさせる、と書けばそれで十分であろう。秀逸。どのレビューも絶賛していたのは当然である。
 この映画には原作小説がある(タチアナ・ド・ロレ『サラの鍵』新潮社)。ストーリーそのものはフィクションらしいが、サラが巻き込まれる「ヴェルディヴ事件」は実際にあったらしく、『黄色い星の子供たち』という映画にもなっているらしい。どちらもチェックしておきたい。