そのほか

もちろん、『君の名は。』も『聲の形』(山田尚子監督)も素晴らしい作品だった。『クリード』(ライアン・クーグラー監督)や『レヴェナント』(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督)も捨てがたい。もちろん、『シビル・ウォー』(ルッソ兄弟監督…

『この世界の片隅で』

『シン・ゴジラ』と同じく、ある種の「原子力映画」と呼べなくもない。もちろん、「戦争映画」「反戦映画」でもあるのだが、「食映画」でもある。描かれる人々はヒロイン含めて、『シン・ゴジラ』のような政治家や官僚、科学者ではなく、『君の名は。』のよ…

『シン・ゴジラ』

ハリウッド製ゴジラに二度も裏切られたうえで、ご本家からやってきた「リブート作」だが、一作目に匹敵するインパクトがあったと言っても過言ではない。東日本大震災に影響を受けた映画はドキュメンタリーを含めて数多くあるが、なかなか納得できるものがな…

『スポットライト』

新聞の調査報道チームがカソリックの神父たちによる性的虐待事件を地道な取材によって暴いた、という実話を映画化したもの。陳腐な言い方をすれば、ジャーナリズムの理想型が描かれている。ただ…できれば『SCOOP!』(大根仁監督)と見比べてほしい。あなた…

今年のベスト3

今年劇場で観た映画は、約80本。この程度の母数では、ベスト10を出しても説得力がない。ベスト3なら、順不同で、『スポットライト』(トム・マッカーシー監督)、『シン・ゴジラ』(庵野秀明監督)、『この世界の片隅で』(片渕須直監督)といったところか。

お蔵出し:米研究者が「STAP細胞」の再現に成功!?

医療情報サイト「Medエッジ」2015年12月13日付で「米研究者が「STAP細胞」の再現に成功!?」という論評記事を発表させていただいたのですが、同サイトが終了してしまったので、記事も消えてしまいました。原稿をここに採録させていただきます。実際に掲載され…

恒例!? 今年観た映画のベスト3

このブログでは、毎年大晦日、僕がその年に観た映画のベスト3を紹介しています。 今年は試写を含めると100本弱の映画を劇場で鑑賞しました。去年よりはちょっと少ないかもしれません。 今年は、いや今年もシリーズやリメイク、リブートが目立ちましたね。偶…

『草原の実験』

午後、ふと試写があることに気づき、いつもの京橋の試写室で『草原の実験』(アレクサンドル・コット監督)という映画の試写を観てきた。これが予想外の傑作だった。 映画の舞台は数十年前の旧ソ連圏のどこか。後述するような雰囲気から、1950年代のカザフス…

今年観た映画ベスト3

ごぶさたしています。こちらでは…。 さて今年も観た映画ベスト3を書きます。 今年はおよそ100本の映画を劇場で観ました。毎年この時期にベスト3を書いていますが、年によっては「ベスト3」といってもその「分母」、つまり観た映画の総数が少なくて、自分…

『THX1138』、『1984』、『すばらしい新世界』、『1Q84』

ごぶさたしています。こちらでは…。 昨日、東京海洋大学海洋科学部での非常勤「生命文化」の最終回を終えることができた。 その前の講義では、ジョージ・ルーカスの劇場デビュー作『THX1138』を題材に「ユートピア/ディストピア」について話した。『THX1138…

小保方博士論文と「先行研究のレビュー」をめぐって

ごぶさたしています、こちらでは…。 昨日、早稲田大学の、正確には早稲田大学に提出された小保方晴子氏の博士論文に対する調査委員会の記者会見を取材してきました。 今回は諸事情で記事を書きませんので、エッセイのようなものをここで書いてみます。 今回…

恒例!? 今年観た映画ベスト3

……というわけで、毎年大晦日恒例(?)、今年観た映画ベスト3をご紹介します。以下、順不同です。 ●『クラウドアトラス』(ウォシャウスキー姉妹、トム・ティクヴァ監督)『マトリックス』シリーズ以降、いまいちぱっとした作品のないウォシャウスキー姉弟…

『マンガで世界を変えようとした男』

昨日午後、京橋テアトル試写室にて、チャーリー・ポール監督『マンガで世界を変えようとした男』の試写を拝見した(まだ公式サイトはない?)。同作はイギリス出身のアメリカ在住マンガ家ラルフ・ステッドマンを追ったドキュメンタリー。ステッドマンは、「…

ポール・マッカートニー東京公演

11月19日(火)、ポール・マッカートニーの東京公演を鑑賞した。非の打ち所がないといってもいいほどの素晴らしいものだった。 最近は、セットリストがすぐにネットにアップされるようになり、便利になった。昨夜の公演もすでにアップされている。 http://ww…

福島市のユースホステル「ATOMA」

11月16日と17日、福島県に出かけて来た。 16日には、ビジネスホテルが見つからなかったので、ネットで見つけたユースホステル「ATOMA」に宿泊した。そこはユースとは思えない、ペンションみたいなシャレオツな施設だった。 ATOMAには東北で三番目に大きいと…

「原子力映画解体」のためのメモ:『イエロー・ケーキ』再訪

本日も引き続き、10月6日の「原子力映画解体」のためのメモをさらします。今回が最後です。 ここ数日、再編集中だったYouTube版、再アップされたようです。映画みたいなクレジットが! 本日は再び『イエロー・ケーキ』を論じます。(当日は『イエロー・ケー…

「原子力映画解体」のためのメモ:『100,000万年後の安全』

今日も引き続き、「原子力映画解体」のためのメモ書きをさらします。 今回は『100,000万年後の安全』というドキュメンタリー映画です。『イエロー・ケーキ』が原発の始まり(=燃料)を描いた映画であるとするならば、この作品とか『アンダー・コントロール…

「原子力映画解体」のためのメモ:『風の谷のナウシカ』

引き続き、「原子力映画解体」のためのメモ書きをさらします。 今日は『風の谷のナウシカ』です。拙著からの抜粋ですが、だいぶ手を入れています。 この作品についても、原作、いやコミック版も含めて、まだまだ語るべきことがあるような気がします。 * ■ …

「原子力映画解体」のためのメモ:『黒い雨』

というわけで引き続き、「原子力映画解体」のためのメモを公開していきます。 今回は日本映画の『黒い雨』です。この映画について語るべきことはきわめて多く、このメモ書きもまだまた未整理なのですが、とにかく晒してしまいます。 なお当日は『チェルノブ…

「原子力映画解体」のためのメモ:『プリピャチ』

引き続き、10月6日に開催されたイベント「原子力映画解体」のためのメモを晒していきます。今日はオーストリア人の監督がチェルノブイリ事故の跡地を取材したドキュメンタリー『プリピャチ』を紹介します。この作品についても、まだまだ語ることができそう…

「原子力映画解体」のためのメモ:『ゴジラ』

昨日に引き続き、10月6日に開催された「原子力映画解体」のためのメモ書きを晒します。 この映画、というかシリーズには、まだまだいうべきことがあると思いますが−−。 * ■ ゴジラ 1954 日本 http://p.tl/momv (2011年10月18日のツイッターを編集) 『ゴ…

「原子力映画解体」のためのメモ:『イエロー・ケーキ』

先週日曜日、東京大学駒場キャンパスで、ドイツ学会主催のイベント「原子力映画解体」に、斉藤勝司さん、渋谷哲也先生とともに登壇しました。ドイツのドキュメンタリー映画『イエロー・ケーキ』の上映回に合わせて、さまざまな「原子力映画」を紹介し、議論…

『眠れる美女』

こちらではずいぶんひさしぶりの更新となります。 * 午後、渋谷の映画美学校で『眠れる美女』(マルコ・ベロッキオ監督)の試写を拝見した。「尊厳死」を扱った映画だと聞いていたので、襟をただして観てみた。 監督は『夜よ、こんにちは』などで知られるイ…

toe「変わるものと変わらぬもの volume. 06」

夜、渋谷のO-EASTで、toeのライブ「変わるものと変わらぬもの volume. 06」を聴いてきた。対バンはイーンスタンユースという名前しか知らないバンドということを会場で知った。 toeはライブ音源をUSBで売るのだが、前回買い忘れてしまったので、今回は先に買…

お知らせ:トークライブ「映画で語るサイエンス」Vol.10 3月16日@

3月16日(土)、新宿のイベントスペース「Naked Loft」にて、サイエンスライターの斉藤勝司さんと続けているトークイベント「映画で語るサイエンス」の第10弾を開催します。 お誘い合わせのうえ、ご来場いただければ幸いです。よろしくお願いします。 (以…

『魔女と呼ばれた少女』、『食卓の肖像』

午前中、六本木シネマートで『魔女と呼ばれた少女』(キム・グエン監督)の試写を観る。 内乱に苦しむコンゴにて、1人の少女が反政府軍に拉致され、両親を殺すことを強いられ、そして兵士になる。彼女には亡霊が見えるらしく、その力によって生還したり、軍…

元ちとせ「10th Aniversary LIVE」

昨夜のことだが、SHIBUYA-AXで、元ちとせのライブ「10th Aniversary LIVE」を観てきた。 ベストアルバムを出してしばらくして、シングルも出していないタイミングで、どんな曲目が披露されるのかすごく楽しみだった。アルバム収録曲、カップリング曲中心だと…

『ベルトルッチの分身』、『孤独な天使たち』

午前中、いつもの京橋テアトル試写室で『ベルトルッチの分身』(ベルナルド・ベルトルッチ監督)の試写を観る。 ベルトルッチといえば、僕にとっては『ラストエンペラー』や『シェルタリング・スカイ』の監督だが、彼のデビュー50周年企画として初期の3作が…

『ひかりのおと』、『故郷よ』

午後、『ひかりのおと』(山粼樹一郎監督)の試写を渋谷のrelations. デジタル試写室で鑑賞。岡山を舞台に、かつては音楽を志していたもののいまは故郷の岡山に戻り実家で酪農に取り組む主人公の心模様を、その家族や恋人との関係を通じて描く。『海炭市叙景…

「写真展 飯舘村」

午後、新宿の全労済ホールで「写真展 飯舘村」を鑑賞した。飯舘村の酪農家・長谷川健一さんが撮りためた写真が展示されている。著書『原発に「ふるさと」を奪われて』(宝島社)では森住卓氏の写真が使われていたが、この写真展と『写真集 飯舘村』(七つ森…