更新遅れ、神保町、yes men

 いろいろあって更新が滞りました……。
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 本日は午後、神保町でイギリス在住オランダ人人類学者のインタビューを受ける。彼女には2年前にもインタビューされたことがあり、そのときはさぼうるで話したのだが、今日は古瀬戸で。そして2年前には日本語でだったのだが、今日はほとんど英語で。「すごく上達していますよ」だってさ(笑)。2時間ほど、日本における幹細胞研究とその規制について議論する。いちおう形式的には、僕がインタビューを受けたのだが、僕が彼女から学んだことも多い。示唆に富む指摘に何度もうなづいた。
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 気になるニュースはいくつもあるが、暗い話題が多いなかで爽快だったのが、各紙伝えている「偽ニューヨーク・タイムズ」。

「イラク戦終わる」 偽NYタイムズ紙120万部?配布

 【ニューヨーク=真鍋弘樹】「イラク戦争終わる」の見出しが1面に――。米ニューヨーク・タイムズ紙そっくりの偽新聞が12日、当地のマンハッタン地区などで大量に無料配布された。左派系の団体による手の込んだいたずらとみられ、「ブッシュ大統領起訴」などの偽記事で紙面が埋め尽くされている。〔後略〕

『朝日(asahi.com)』を選んだことに他意はない。この記事には書かれていないが、これは知っている人は知っている、お騒がせ社会派パフォーマンス集団「イエス・メンyes men」の仕業らしい。在英経験のある知人から「マイケル・ムーアみたいに面白い連中がいるよ」と、彼らの存在を教えてもらったのが数年前。WTOのウェブサイトのパロディサイトをつくったり、さらにはWTOのスタッフのふりをして国際会議にのりこんだり、とか。ドキュメンタリー映画までつくられたらしい(残念ながら未見)。
 その後しばらく、なりを潜めていたようだが、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!ね。
 彼らが今回、ターゲットに選んだのは『ニューヨーク・タイムズ』とオバマ(次)政権。その『偽ニューヨーク・タイムズ』はちゃんとウェブ版もつくられていて、これがまた、本物ソックリで笑える。


『(偽)ニューヨーク・タイムズ』


「国民保険法が通過」、「最高賃金法が通過」、「バイオ燃料禁止」……トーマス・フリードマンのコラムまである。エクソンの広告も面白い。
 これを読めばすぐにわかるのだが、イエス・メンは単なる目立ちたがり屋でも愉快犯でもなく、かなり本気に、社会の変革をめざすパフォーマンス集団だとわかる。僕はてっきり、彼らはほんの数人の天才的アーティストから成るグループだと思っていたのだが(実際、最初はそうだったのかもしれないが)、今回の企てでは、半年前から数千人のボランティアがかかわったらしい。このプロセスもいずれ明らかにされるだろう。
 内外の各紙がこの騒動を伝えているが、当の『ニューヨーク・タイムズ』は、「エイプリル・フールが早めに到来」と、あっさりと伝えているのみ。大人の対応? 
ニューヨーク・タイムズ』もオバマ(次)政権も、今回の彼らのパフォーマンスを自分たちへの誹謗中傷などではなく、最大のエールであるととらえてほしい。そして他国の政府もメディアも、他人事と受け取るべきではない。でないと、イエス・メンにやられちゃうぜ。08.11.15