着床前診断報道でわかること、わからないこと

 13日のことですが、日本産科婦人科学会着床前診断受精卵診断)の現状を発表しました。
 各紙から要点をまとめてみます。

〔略〕
 全国で過去3年間に行われた件数と結果を公表した。
 同学会に報告した8医療機関では44人の女性に受精卵64個を戻したが、生まれた子供は3人と少なかった。
〔略〕
 今回公表したのは2005年4月〜今年3月の結果で、同学会は107件の申請を受け、73件を承認。このうち、夫か妻の染色体異常で流産を繰り返す「習慣流産」の夫婦が57件を占めた。出産に至った3件はいずれも習慣流産の夫婦で、遺伝病を持つ夫婦の出産例はなかった。〔略〕(無署名(読売新聞)「「着床前診断」低い出産率…産科婦人科学会調べ」、『読売新聞(YOMIURI ONLINE)』2008年12月14日)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20081214-OYT8T00223.htm

〔略〕
 妊娠率は約15%と学会の期待より低く、技術的な課題を探る。
〔略〕
 実施に踏み切ったのは6施設の64件で、5施設の10件が妊娠に至った。現在までに生まれた赤ちゃんは2施設の3人だった。〔略〕(無署名(毎日新聞)「着床前診断:64件で妊娠率は約15%−−産科婦人科学会」、『毎日新聞毎日jp)』2008年12月14日東京朝刊)
http://mainichi.jp/select/science/news/20081214ddm041040139000c.html

〔略〕
 このほか妊娠中の胎児が6人いるという。
〔略〕
 これまでに9施設から107件の申請があり、73件を承認。今年3月現在のまとめでは、診断が実施されたのは44件で、問題のなかった胚(はい=受精卵)計64個が子宮に移植された。(無署名(時事通信)「着床前診断、低い成功率=出生児3人−日産婦まとめ」、『時事通信時事ドットコム)』2008年12月13日17時37分)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008121300305

 こうしてつなげて読むと、それなりのことがわかります。ですが……。
 着床前診断受精卵診断というのは、当然のことながら、体外受精が前提となります。各紙、64個の受精卵=胚が子宮に移植されたと伝えているのですが、何個の受精卵がつくられ、診断の結果、「問題がある」とされて、子宮に移植されずに廃棄された、もしくは凍結保存されている受精卵が何個あるのかは、わかりません。重要なデータだと思うのですが。08.12.15