オバマの幹細胞政策

 唐突ですが、明日はオバマの就任演説ですね。僕が気になっている政策は2点。1つは国民皆保険制度。もう1つが、いうまでもなく幹細胞です。
 アメリカでは連邦予算を使って研究してもよいとされるES細胞は、21株に限られています。最初はもっとたくさんあると言われていたのですが、フタを開けてみればこれだけだったとか。それを決めたのが、ブッシュの悪名高き、2001年8月9日の「大統領命令」です。奇妙なことに、連邦予算を使わなければ、この21株以外の細胞株を使ってもよいとされており、実際、ブッシュの政策にしびれを切らした研究者らが、自腹で(?)新たなES細胞株を次々と樹立しました。また、21株のES細胞のなかには、倫理的に問題のありそうなものが少なからずあることが、アメリカの生命倫理学者の調査で明らかになりました(拙稿「いまなお倫理問題に揺れるアメリカの幹細胞研究」、『メディカルバイオ』2008年11月号)。
 そろそろ民主党議員たちの議論が漏れ伝わってきています。オバマはブッシュの幹細胞政策を見直して、連邦予算を使えるES細胞株の枠を拡げることを選挙キャンペーン中から公約してきました。民主党は、オバマがブッシュと同じ「大統領命令」でそれを行なうのか、それとも民主党が法案を書いてそれを議会に通すのか、議論しているようですが、まずオバマが大統領命令を出し、次に民主党議員らが法案をつくる、という手順が踏まれるというセンが濃厚のようです。
 問題は、その大統領命令がいつ出るか、です。ブッシュが出したのは就任後約半年経ってからでした。ではオバマは……まさか、就任演説と同時ではないでしょう。
 そのほかに課題が多すぎて、幹細胞どころではないかもしれませんしね。


Democrats weigh options to bolster stem cell research
http://www.iht.com/articles/2009/01/04/news/stem.php


Medical Bio (メディカルバイオ) 2008年 11月号 [雑誌]

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