幹細胞研究ガイドライン

 すでに旧聞に属しますが、アメリカで幹細胞研究のガイドラインが公表されました。以下、ご参考までに。

ルールは古い幹細胞株への資金支出を認めるだろう
Rules Will Allow Financing for Old Stem Cell Lines


ガーディナー・ハリス
By GARDINER HARRIS
2009年7月6日
Published: July 6, 2009


ワシントン----オバマ政権は月曜日〔2009年7月6日〕、幹細胞研究を統治する最終ルールを公表した。それによって、多くの古い幹細胞が連邦に資金支出される研究にふさわしいものになるだろう。
 この変化は、4月に同政権が提案したルールへの批判に反応するかたちでやってきた。そのルールは、凍結卵のドナーが甚大な同意フォーム〔文書〕にサインすることを求めており、ブッシュ政権によって認められた幹細胞株の一部にさえ、さらなるカネを使えなくするものであった。
 国立衛生研究所の所長代理レイナード・S・キングトンRaynard S. Kington博士は、記者会見で、NIHは、火曜日〔2009年7月7日〕以降に幹細胞をつくる科学者は誰でもその研究を望ましいものにするためにはこの新しいルールに文字通り従うことを主張する、と言う。
 火曜日の前につくられた幹細胞株を使う科学者は、諮問委員会による審査をその委員長に求めることになるだろう。もしその〔幹細胞〕株が、新しいルールの精神には適合するものの、それに文字通り適合していないという状況でつくられたものだったら、それらは認められるだろう、とキングトン博士は言う。
「すでに存在する〔幹細胞〕株の多くが、インフォームド・コンセントについてのとても厳しい基準に適合しているだろうが、現在のガイドラインには合致しない方法でつくられています」とキングトン博士は言う。「未来の利用を意図した手順を、遡及的に応用するのは不合理です」
 重要なテストは、幹細胞株をつくるのに使われる胚は生殖目的でつくられたものかどうか、ドナーは自由意志で研究行為での利用に同意したかどうか、ということである、とキングトン博士は言う。研究者のなかには、書面でのフォームに加えてビデオを使った者もおり、プロセスにおけるそうした小さな違いが、その研究を資金支出不可能にすることはないだろう、とキングトン博士は言う。
 古い幹細胞株のなかには連邦予算を使えるものになるものもあるだろう。しかし彼は、どの古い株が認められることになるか、推測を拒んだ。委員会はまた、ほかの国でつくられた幹細胞株の適合性をレビューすることになるだろう。そこでは異なるルールが使われている。
「私は、彼らが科学界の圧倒的多数のフィードバックを採用し、科学に優しい提案science-friendly proposalに応えたことをとても喜んでいます」と、ボストン子ども病院の幹細胞移植プログラム長ジョージ・Q・デーリー博士は言う。
 デーリー博士はまた、NIHの認可に見合う幹細胞株のレジストリーを創設することも称賛した。
「すべての施設が、どの細胞株がNIHの予算支出にふさわしいものかを再発見しなければならない、というのはありえません。ですからレジストリーをつくることはとても実用的です」とデーリー博士は言う。
 このルールは、ただ研究のためにつくられた胚に由来する幹細胞株を使う研究への予算支出をまだ禁止している。
 100億ドル以上の経済刺激資金を得て、衛生研究所当局は、幹細胞研究を拡大することに飢えている。古いルールでは、わずか21株が連邦予算の支出にふさわしいものである。しかし民間の予算を使う研究者らは、700株以上の幹細胞をつくってきた。(粥川準二仮訳)(Harris, Gardner "Rules Will Allow Financing for Old Stem Cell Lines", The New York Times, July 6, 2009)

http://www.nytimes.com/2009/07/07/science/07stem.html