診療報酬

 一時期、診療報酬をさらに下げるという議論が漏れ伝わってきてきて、自己(窓口)負担が5割という時代が来るのかなあ、と思っていたら、最近、引き上げの気運が高まってきたようですね。

 厚生労働省は病院や診療所などの医療機関に支払われる診療報酬について、2010年度改定に向けた議論をスタートさせた。10年ぶりに全体で引き上げられる公算が大きいが、衆院選後の政権の枠組みも影響すると見られる。来年3月の決定まで激しい議論が行われそうだ。〔略〕2002年度以降、政府の医療費抑制方針を受けて、診療報酬は「本体部分」と「薬価部分」を合わせた全体で引き下げられてきた。しかし、今回は00年度以来10年ぶりに全体でプラスになる可能性がでてきた。政府が医療費を含む社会保障費を毎年2200億円抑制するこれまでの方針の撤回を決めたからだ。〔略〕日本医師会は、「長年の医療費抑制で地域医療は崩壊している。地域医療全体の底上げが必要」として救急・産科にとどまらず病院、診療所など一律で引き上げるよう主張。〔略〕(高橋勝己「[解説]診療報酬改定の議論始動」、『読売新聞』2009年7月25日)

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090725-OYT8T00275.htm?from=yoltop

 この記事の指摘通り、健保組合や企業の負担が増えるのは、引っかかりますね。ただでさえ健保が解散して、国保に移行している人が増えているのに。それでも国保という受け皿があるだけ、アメリカよりはマシといえますが。
 民主党は、診療報酬の決定権を国会に移行することをマニフェストに盛り込んだとか。

民主党衆院選マニフェスト原案となる「09年政策集」に、現在厚生労働相の諮問を受けて診療報酬の改定を答申している中央社会保険医療協議会中医協)の構成・運営の改革が明記されていることが22日明らかになった。これに関連して岡田克也幹事長は同日、「最終的には国会で議論して決める」と表明。政権交代が実現した場合には、国会が診療報酬改定に関与する制度に改める考えを示した。〔略〕(野口武則、小山由宇「選挙:衆院選 診療報酬、国会で決定」、『毎日新聞』2009年7月23日 東京朝刊)

http://mainichi.jp/select/science/news/20090723ddm001010004000c.html

 
 岡田幹事長はいまのところ、総医療費の引き上げと患者の自己負担増加の回避を主張しているようです。
 財務省厚労省日本医師会民主党自民党……荒れそうですね。
 現在の風潮では、社会保障費抑制を唱えることなど、どの政党もできないでしょう。でも風向きが変わったら……いま、考えるべきことではないですね。09.7.26