ゴーストタウン

 朝から隣町へ。最近できたという公立図書館の様子を見て、もし使いやすそうだったら、そのままそこで作業しようと思ったのだが……。
 まず自転車置き場が見つからなかった。この図書館は、再開発で建てられた巨大ビルの3階にある。駅に隣接し、低層は複合商業施設、高層は富裕層向けのマンションという、最近増えているタイプのビルだ。結局、駅の自転車置き場に自転車を置き、徒歩でそのビルに向かったのだが、図書館への入り口がすぐにわからず、結局ぐるっとまわって、目立たない小さな入り口から建物の中に入り、エレベーターで3階へ。
 目的の図書館は、図書館というより図書室という規模のものだった。蔵書は単行本も雑誌も辞書類もたいしたことはない。読書用の座席は、あることはあるのだが、とても狭い。あまりメリットはなさそうだ。リクエストした本やCDをピックアップするだけだったら、自室から徒歩数分のところにある「分室」を使えばいいし、調べ物や仕事で長居したければ、いつもの中央図書館のほうがずっといい。というわけで、わずか数分で見切りをつけて、外へ。地上3階にある「正門」らしき出入り口から外に出ると、これまた最近増えている、ちょっとした広場のような空間に行き着いた。賑わいはまったくなく、植えられている植物もわざとらしく、ただひたすら冷ややかな雰囲気がただよっていた。
 そこから地上に降りて自転車置き場に向かったのだが、複合商業施設で行われるイベントやセールなどがPRされているはずの看板はブランクだったし、周りの商店はシャッターが降りているところばかり。街全体が死んでいるようだった。(余談だが、この隣町には一時期、例の作家が住んでいたらしい。確か2006年だったと思うが、ほんの偶然、「○○○亭」というお店の看板を見かけて驚いたことがある。件の作家のエッセイに出てくるあのレストランかッ、と思ったのだ。数カ月後あらためてその場所を訪れたところ、レストランらしき店はとうの昔につぶれていて、看板はその痕跡として残っていた。それからすでに1年ぐらい経っている。あの看板はいまも残っているだろうか。残っていたらデジカメで撮っておこうかな。)
 そんなわけで、いつもの中央図書館に移動し、その「社会人席」で夕方まで作業。この図書館の隣には巨大なショッピング・モールがあったりして、ここもファスト風土には違いないのだが、雰囲気は隣町より少しましなような気がする。09.8.11