近況@200Q.12.28

 雑事のあいまをぬって、やっと、川口有美子『逝かない身体』(医学書院)を読了。一週間ぐらいかかってしまった。今年は書評で取り上げたもの以外、あまり新刊を読めなかったが、読めたもののなかではベストかもしれない。
 同書では主に、川口さんのご経験が書かかれているが、次はちょっと違うタイプの本が書かれるのだろう。先日の「生存学と死生学」のシンポジウムで川口さんが話していたように、「不作為という作為」によって亡くなっている、いや、殺されているALS患者は、かなりいるのではなかろうか。その情報は、川口さんの元には自然に集まっているだろうし、あらためて調査するのに有用なネットワークもあるだろう。
 日本は犯罪の少ない国である。それは間違いない。しかし「不作為という作為」という「社会的殺人」はどうだろう。年間3万人を超える自殺者。それに治療可能、ケア可能であるにもかかわらず、それを受けることなく亡くなっている難病患者が加わるとしたら。日本は先進国といえるほどの国家なのだろうか。政権は変わったけど……。
 明日、故郷に帰るつもり。“日本のデトロイト”と呼ばれている街に。09.12.29

逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズ ケアをひらく)

逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズ ケアをひらく)