ダンス・ミュージックはお好き?

 僕が通っているスポーツクラブのプールでは、BGMにダンス・ミュージックがよくかかる。音楽に合わせて身体を動かすプログラムがあるからだろう。
 僕は昔からダンス・ミュージックが好きになれない。ラップ、テクノ、ハウス、ヒップホップ……いずれも積極的に聴くことはない。
 ダンス・ミュージックの世界もネタ切れなのか、カヴァー曲が多いようだ。原曲がどんなものであれ、バスドラムをすべての拍子の表に入れれば、すぐにダンス・ミュージックっぽくなる。カヴァーというスタイル自体を、僕は否定しない。しかしながら、思い入れのある原曲が安易にアレンジし直され、ちゃらちゃらとしたダンス・バージョンで流されているのを聴くと、顔をしかめずにはいられない。
 今日は、U2の「With or without you」のダンス・ヴァージョンが流れた。せっかくの名曲をなんてことしてくれるんだ、と憤慨していたら、今度はニルヴァーナの「Smells like teen spirits」が流れた。おいおい、ラブソングならばともかくとして、「Smells like teen spirits」って、周囲との不調和に苦しむ若者の心を歌った曲だぜ、クラブにたむろしているようなヤツらとは、まったく異なるタイプの人間の叫びだぜ、カート・コバーンは自殺したんだぜ、いいかげんにしてくれよ、と思っていたら、Yesの「Owner of a lonely heart」が流れた。僕は周知の通りプログレ好きなんだけど、実は、Yesはこの曲から入ったんだよなあ。ついでにいうと、ジェネシスは「Invisible touch」から(笑)。歴史的にいえば、「Owner of a lonely heart」や「Invisible touch」は、彼らがプログレから離れてポップ路線に入った時期の作品。そう考えると、「Owner of a lonely heart」のダンス・ヴァージョンにはあまり腹が立たなかったりする(苦笑)。10.2.22