科学の過剰、科学の不足

 昨日のことだが----。
 ある人と腰痛のことを話していて「鍼は試したの?」と聞かれた。「はい。まったく効きませんでしたけど。それに鍼が腰痛に効くという強いエビデンスはありません」と答えたところ、「エビデンスは関係ない。自分が気持ちいいかどうか」だってさ(苦笑)。
 その直後、別の人が、自分の住んでいる街の治安の悪さを強調するのを聞いた。「日本は国際的に見ても犯罪が少ない安全な国で、年々、より安全になっていますよ」と言おうと思ったが……やめた(苦笑)。
 主観と客観。不安と統計。技法(アート)と科学(サイエンス)。危険とリスク……。
 プラシーボ効果“のみ”しかないエセ医療による希望の搾取。治安強化にともなう排除型社会の形成。
 科学の過剰も問題だが、科学の不足はそれ以上に問題だと思う。10.3.17