『ハート・ロッカー』

 日曜日なのに(?)仕事帰りに途中下車して、『ハート・ロッカー』を観る。いわずと知れたアカデミー賞作品。イラク戦争を主題にした映画はこれで何本目だろう? ヴェトナム戦争湾岸戦争と違って、現実世界の戦争がまだ終わっていないのにすでに何本もの映画がつくられている。最近の映画業界にはあきれることが多いが、ハリウッドの底力はこうした諸作品に現れる。
 ストーリーらしいストーリーはない。主人公たちの日常----といってもイラクでの爆弾処理という特殊で危険な仕事だが----が、任務終了まで後何日、というかたちで淡々と描かれるスタイルや、危険や死に取り付かれている男というキャラクターにはどことなく既視感がある。クライマックスもとくになかったが、戦争のリアルさは十分に伝わってきた。おそらく監督たちは多くの当事者を取材し、その素材を映画というフォーマットにあてはめたのだろう。現実の戦争には起承転結などないのだが、映画の素材になるものは十分にある。10.3.29