『エル・トポ』

 夜、渋谷のヒューマントラストシネマで『エル・トポ』の試写を観る。夜9時からの試写は珍しい。その案内は一昨日に届いた。
 映画の試写の案内が直前にメールで届く、ということはたまにある。どうやら宣伝・配給会社が著名人に宣伝コピーなどを依頼したのだが、通常の試写の日時に来てもらうことができないので、あらためて試写の機会を設定し、でも1人だけに見せるのはもったいないということで、ほかのメディア関係者にも直前に案内を送る、ということがあるらしい。以前、そういう案内に応じて試写を観に行ったら(そのときは午前中だった)、某著名映画評論家がいたことがある。その人物は予想通り、その作品の広告で(批評ではなく)推薦文を書いていた。
 今夜の試写は、そういう目的のものだったのかどうかはわからない。推測は控える。
『エル・トポ』はカルト映画の代名詞ともいえるメキシコ映画で、デジタル・リマスター版が劇場公開されることになったらしい。続編、リメイクだけでなく、デジタル・リマスターも大流行だ。
『エル・トポ』がつくられたのは40年前、ハリウッドの大作ではなく、広く宣伝されたわけでもなかったのだが、ジョン・レノンアンディ・ウォーホールなどが絶賛したことなどで有名になった……ということを、僕は大学生のとき、本か雑誌で読み、VHSのビデオを借りて観たと思う。何がなんだかさっぱりわからなかったが、とりあえず強烈な印象だけは残った。

銃の名手エル・トポ(アレハンドロ・ホドロフスキー)は、一人息子(ブロンティス・ホドロフスキー)を連れて旅をしていた。あるとき、彼は住民たちが山賊によって虐殺された村を通りかかり、エル・トポは修道院を占拠していた山賊の首領との決闘に勝利する。やがて彼は息子を置いたまま、首領の女を連れて再び旅に出る。

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id3111/

 今回、20年ぐらいぶりに観たわけだが、僕もそれなりに成長しているので、だいぶ理解できた。「理解」という表現は正しいか? とりあえず、スクリーンで何が展開されているかということぐらいはわかった。西部劇と神話とスプラッターブレンドは、いま観ても強烈な印象がある。
 しかし、好きか嫌いかは分かれるだろう。二度と観たくないと目を背ける人も多いだろうな、と思ったのは、20年前と同じである。