『マチェーテ』

いつものところと同じ系列だが別の場所にあるシネコンで、『マチェーテ』を観る。サービスデイなので安く観られたのだが、わざわざ交通費を使ってこういう“B級”映画を観に行くというはいかがなものか――。
結論からいえば、大当たりだった。途中、何度も爆笑した。
この映画は、いうまでもなく、タランティーノ&ロドリゲスの2本立て映画――といっても日本では1本ずつで公開された――『グラインドハウス』のなかにつくられていたインチキ予告編を、その評判があまりによかったので、1本の劇場公開映画として作品化したもの……と思っていたのだが、いくつかの映画情報サイトによると、ロバート・ロドリゲスの構想としてはずっと前からあったものらしい。
いやあ、無意味に多いアクション・シーンといい、無意味に多いお色気シーンといい、『グラインドハウス』のスピリットをみごとに爆発させた傑作だった。
しかも同時に、アメリカとメキシコが抱えている政治的問題――不法移民、麻薬など――にも踏み込んでいる。超がつくほどのB級テイストにあふれた作品なのだが、同時に社会派作品でもあるのだ。
ちょっと細かいことでは、あるキャラクターが、テキーラか何か(すいません、酒のことはわからないので)を飲むシーンで、拳銃のかたちをしたボトルが使われていたことが、なかなか渋い演出だと思った。ロドリゲスの盟友タランティーノ(に限らないかな?)は、作品中に登場するちょっとした小物も、現実世界には存在しないものをわざわざつくって使うことが知られているが、このボトルもそうなのかな。
そういえば『プレデターズ』は、ロドリゲスが製作だった。あれもいい仕事だった。『グラインドハウス』には、インチキ予告編が全部で4本あったはずだが、この勢いで、残り3本も、タランティーノかロドリゲスか、その仲間によって作品化されるといいのに。


追記;
アバター』での好演が記憶に新しいミシェル・ロドリゲス演じるタコス屋の女主人の台詞が印象的だった。「腹が満たされれば、憎しみは消える」(記憶だよりのため不正確)