年末年始に見聞きしたもの

 というわけで、本日の夜、帰室。いや帰室して、すぐプールに行ってひと歩きし、ひとっ風呂あびてまた帰室。
 T市では、いつものように2階の部屋でごろごろと過ごした。もちろん初詣はパス。
 読んだのは、某哲学者のベストセラー本など。僕はベストセラーの本を読むことなどめったにないのだが、この本についてはそれなりに事情がある。そのほか英語圏の医療社会学者がある病気について書いた本、その病気についての各種資料など。その病気の治療には、一般的に○○が使われているけど、それが効くというエビデンスがほとんどないようだとわかった……なんてことを、医師でも薬剤師でもない僕がうかつに述べるのはやめておく。しかし患者を含む一般人にも知らされるべき事実だと思う。この当たりのことは、議論の仕方から考えなければならない。
 T市滞在中はいつもLPレコードで音楽を聴く。いつものようにキング・クリムゾン「U.S.A」(まだCDが出ていないとき、旅行先のロンドンの中古レコード屋で格安で入手したもの)、マイク・オールドフィールド「チュブラーベルズ」のほか、タンジェリン・ドリーム「アテム」など。最近、セロニアス・モンクをよく聴くのだが、T市では「THE MAN I LOVE」というアルバムがなぜかあったので、それを聴いてみた。たぶん大学生のとき高田馬場かどこかの中古レコード屋で、背伸びして買ったものだろう。やっぱりモンクは、ソロかピアノ・トリオがいい……って、ジャズは“敵性音楽”だった。聴いていないことにしておこう。
 僕はふだんテレビを観ない(それ以前に所有していない)のだが、T市では少しだけ観る。
 テレビ経由で観た映画は、『スパイ・ゲーム』、『Uボート』、『アマルフィ』。前2者は再見。『スパイ〜』は、ロバート・レッドフォード演じるベテラン・スパイがCIAを、ブラピ演じる若手スパイの救出に誘導するアイディアが凝っていた。さすがトニー・スコット。『アンストッパブル』も観るかな。『Uボート』は、潜水艦が激闘をくぐり抜け、やっと港にたどり着いてから飛行機の爆撃であっというまに沈んでしまうラストがせつない。海を制する戦争から空を制する戦争への変遷の象徴であろう。また暗い場面を暗いままくっきりと見せる撮影技術の不足が残念。しょうがないか。『アマルフィ』は、予告編を観たとき、これはテレビドラマっぽくて僕好みではないな……と思って劇場では観なかったのだが、その通りだった。でも、邦画をめぐる悲惨な状況のなかでは、まあまあかもしれない。とりあえずカネはかけたようだし(苦笑)。ツッコミどころも数点あった。たとえば、ただの書記官ではない特殊な外交官らしい主人公が、誘拐犯と話したとき、なぜ子どもの父親だと名乗ったのか、とか。でも、ま、いいか。
 映画のほかにサンデル先生の講義の再放送をすべてではなく一部だけ拝聴。
 ……という感じで、T市で数日を過ごし、さきほど帰室。行きはのぞみでだったが、帰りはこだまで。自室には年賀状が少しだけ届いていた。ちょっとうれしい内容を含むものもあった。そのほか季刊誌『談』最新号も届いていた。
 そんなわけで、明日から通常営業に戻る。
 今年もよろしくお願い申し上げます。