津波、原発、放射能

例によってツイートからまとめておく。
3月11日から本日までに死亡が確認された人は1万4500人、行方不明もほぼ同数であると伝えられている http://bit.ly/gyZb28 。もし行方不明者がすべて亡くなっていると仮定すると、死者数は3万人弱ということになる。また4月19日までに検死が行われた死者のうち92%は水死であることも判明している http://bit.ly/idaape 。つまりいまのところ、人の命を最も多く奪ったのは津波である。原発事故による放射能ではない。
もちろん今後、低レベルの放射線を長期間浴びることによってがんなどになり、命を落とす人が出てくる可能性は否定できない。しかし、いまはそれが顕著に見られる段階ではない。
ではマスメディアによる報道は、こうした被害のバランスを適切に反映しているだろうか。
Googleニュースの検索オプションで3月11日から4月27日までに範囲を設定し、"津波"と"死"で検索すると、220件の記事がかかった。同じ範囲で、"原発" "死"では144件だった。この結果には、ある種の安堵を感じた。マスメディアには、いくらかの良識があるのだ、と。しかし同じ範囲で、"放射" "死"では627件もの記事が見つかった。"津波"と"死"のおよそ3倍である。ある程度、予想していたことではあるのだが、残念さを感じずにはいられない。
そして僕のツイートも、3月11日以降、ほぼ原発一色であることはお気づきの通りである。だから僕にマスメディアを批判する資格はない。批判されても仕方がない。
以上のようなことをもっと精緻な方法論で確認した人は、おそらくすでにいるだろう。僕がいまやったことは、きわめて簡単なやり方であり、調査のうちにも入らないだろう。結果もとくに興味深くはない。でも確認せずにはいられなかった。そのタイミングが今日であった理由は、自分でもよくわからない。これから出席する予定の研究会などと関係しているのかもしれない。


追記:
死者の総数は、もしいま行方不明となっている方がすべて亡くなっているとすると、3万人弱である。阪神大震災の死者は約6000人なので、その約5倍ということになる。しかし3万、6000という数字は偶然にもそれぞれ毎年の自殺、毎年の交通事故死とほぼ同数である。日本では毎年、阪神大震災東日本大震災と同数の死者が出る災害が起きている、と解釈できなくもない。このあたり、社会におけるリスクというものを考えるうえで重要なポイントであるような気がする。