『バイオ・キャピタル』、『エイズを弄ぶ人々』

本日発売の『週刊読書人http://bit.ly/bJ9jM1にて、科学史家の塚原東吾先生が翻訳したカウシック・S・ラジャン著『バイオ・キャピタル』http://amzn.to/jnKoksの書評を書いています。インドで生まれアメリカで学んだ若き人類学者ラジャンが、インドとアメリカにおけるヒトゲノム研究開発を対象に、フィルーワーク、文献調査、理論的考察を重ね、それを「生-資本(バイオ・キャピタル)」というキーワードで分析した力作です。バイオテクノロジーと社会との関係を考察するうえで最重要文献の1つと思われます。この分野にご興味のある方は、ぜひご一読ください。

バイオ・キャピタル ポストゲノム時代の資本主義

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なお奇しくも今日公表された『日経BPオンライン』誌上のインタビューでSTSの論客として知られる平川秀幸さんが、

科学技術は中立であるどころか、社会のなかの利害関係や価値観の対立と、根本的に絡み合っています。私たちの遺伝情報や細胞組織は多大な利益を生み出す文字通りの「資源」や「資本」になっています。そもそも、何を研究するのかということが、すでにその時々の政治的、経済的、社会的な利害に左右されています。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110517/220014/?P=1

と述べているのはまさしく「生-資本(バイオ・キャピタル)」の問題です。


続いて明日発売の『図書新聞http://bit.ly/lLvT1v 5月28日付が届きました。僕は第5面で、セス・C・カリッチマン著『エイズを弄ぶ人々』(野中香方子訳、化学同人http://amzn.to/mlBhsY の書評を執筆しています。心理学者である著者が「HIVエイズの原因ではない」という「HIV/エイズ否認主義」の歴史と問題性を問いただした本です。ご参照ください。
なお同紙1面では吉岡斉先生が原発震災――福島第一原発事故チェルノブイリ事故の相違など――について寄稿なさっています。
こちらもご一読ください。

エイズを弄ぶ人々 疑似科学と陰謀説が招いた人類の悲劇

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