『SUPER8』

夜、『SUPER8』を観る。
3.11以来、映画を観る頻度は確実に減っている。先日の1日のサービスデイもいつのまにか過ぎてしまっていた。
それはともかく、これはいうまでもなく、J・J・エイブラムスが監督した新作で、スピルバーグが製作にかかわっている。エイブラムスといえば、多くの人にとってはテレビシリーズ『ロスト』の監督かもしれないが、僕は観ていない。映画の『クローバーフィールド』は観た。
今夜観てきた『SUPER8』はすでにあちこちで書かれている通り、『未知との遭遇』や『E.T.』などスピルバーグ作品から少なからず影響を受けていることが非常によくわかる。というか、作品世界の舞台も1979年らしいので、ほとんど再現したといってもいってもいい。
主人公は母親を亡くしたばかりの少年で、仲間と8ミリで映画をつくっている。その映画はゾンビもの。この劇中劇に出てくる化学企業の名前が「ロメロ社」というのだが、これは間違いなくジョージ・ロメロから取ったのだろう。つまりスピルバーグだけでなく、ロメロにもオマージュが捧げられているのだ。
その撮影の最中、ある出来事に出くわす。少年たちはそれを秘密にする。舞台となる田舎町に軍隊がやってきて、ものものしい雰囲気になる。
軍は何かを隠している。少年たちはその真相に迫る。その過程で、家族との葛藤があり、仲間との友情があり、そしてもちろん恋愛もある。ちなみにヒロインを演じていた女優は、どこかで見た雰囲気の子だな、と思っていたら、ダゴダ・ファニングの妹だった。
脅威の正体がなかなか見えず、観客をじらすという手法は、『遊星からの物体X』や『エイリアン』、そして『クローバーフィールド』に受け継がれたおなじみのもの。主人公たちが映画を撮るという映画も過去いくつかあったはず。そういえば『クローバーフィールド』の登場人物もハンディビデオを回していた。“撮影好き”の人物は、たぶんエイブラムス自身の投影なのだろう。
そんなわけで、『クローバーフィールド』は日本の怪獣映画へのオマージュに満ちていた作品だったが、『SUPER8』は、スピルバーグのいくつかの作品に、ちょっと『スタンド・バイ・ミー』などのテイストを加えたような味わいに仕上がっている。
懐かしいといえば懐かしいのだが、映画としての“新しさ”はいまひとつだという印象もないことはない。最後は『E.T.』だしね。あ、いっちゃった(笑)。
ところでスピルバーグは、つまらん作品ばかり乱作しているマイケル・ベイの『トランスフォーマー』の三作目の製作にもかかわっているらしい。自身が次に監督するのを予定している作品は、ターゲット年齢層が低そうなもので、僕はどうするかな。公開されたら考えよう。最近の子ども向け映画は、大人が観ても結構面白い場合もあるしね。


追記:
街に軍隊がやってきてものものしい雰囲気になり、強制退去までなされるシーンは、どうしても震災を想起せずにいられなかった。そういえば、震災の影響で公開が中止されたり、延期されたりした映画がいくつかあったはず。これから改めて公開されるのだろうか。