生きる者と死ぬ者、その間に

震災の死者1万5585人 警察庁まとめ

 東日本大震災の死者は18日現在、警察庁まとめで12都道県1万5585人、行方不明者は6県で5070人となった。
 被害が大きい3県の死者は宮城9322人、岩手4597人、福島1600人。不明者は宮城2569人、岩手2215人、福島282人。
 内閣府によると、6月30日時点の震災による避難・転居者は約9万9千人。
2011/07/18 17:39 【共同通信

http://www.47news.jp/CN/201107/CN2011071801000381.html

今回の震災では約1万5000人の人が亡くなり、約5000人の人が行方不明になっている。両方を合わせると約2万。気になるのは、その内訳である。警察庁は4月の段階では死者の約9割が「水死」だと発表していたが、僕が知りたいのは、そのこととも大いに関係がある、別の観点からの内訳である。すでにあるSTS研究者が予備的なデータ分析を行ない始めているようだ。まだスケッチ段階のものらしいので断定は避けたいが、それは僕の直感にあまりに一致しすぎて、初めて見たとき、とりあえず驚愕し、同時に落胆した。
健康格差論、あるいは健康の社会的決定因子論と呼ばれる議論に関心を持つ人の多くは、おそらく僕と同じ直感を抱いているはずである。ちなみに災害については「社会的脆弱性」という用語があることは、不勉強にも最近知った。僕は「災害の社会的決定因子」という用語を勝手に思いついていたのだが…。
僕は原発事故は「人災」だが、津波は「天災」であって、ある意味やむをえないものだと思っていた。6月に被災地に行ったとき、田老で巨大な防潮堤、「スーパー堤防」が破壊されているのを見たときにもそう思った。まるで要塞のような防波堤が破られるのを誰が想像できるのか、と(写真はそのときに撮影したもの)。

しかし、そう簡単に津波の被害を「天災」とみなしてしまうのは、どうも甘かったようだ。詳しくはまた書く機会があるだろう。
とにかく、生きる者と死ぬ者、その間に切れ目を入れる生-権力の「レイシズム(人種主義)」は、津波においても強力に発動したようである。それは瞬間的なものだったが、同時に生じた継続的なもののほうは、福島を中心に、いまも発動中なのかもしれない。