『新・猿の惑星』

シリーズ3作目(ほんとは2作目を観たかったのだが、レンタル中だったのでこちらを先に観た)。『猿の惑星』は、猿が支配する惑星に地球の、いや現代の人間が迷い込む、という話だったが、この作品では逆になる。つまり人間が支配する惑星、いや現代の地球に、猿が支配する惑星、いや未来の地球の猿たちが迷い込む。ややこしいが、ようするに、テイラーたちが出会ったサルの夫婦が今度はテイラーたちがもともといた時代、つまり1970年代にやってくる。『猿の惑星』をちょうどひっくり返した構図である。
コーネリアスジーラ夫妻は最初、言葉を話せないふりをしていたが、実験動物扱いに耐えられず、ジーラは話してしまう。彼らは歓待されるが、同時に興味の対象ともなる。そして徐々に、彼らがどのようにして現代の地球にやってきたのか、未来の地球がどうなるのかが、彼らの口からほのめかされる。彼らも完全に状況を把握しているわけではないのだが……というのがそのあらすじ。
残念ながらあまり面白くなかった。シリーズものというのは、基本的に「前作が売れた」ことを理由に制作が決められ、「前作を観た客がある程度観に来てくれる」ことを前提に、というか、それを目的に制作される。いまも昔もいっしょらしい。
となると、シリーズを重ねるごとにつまらなくなるのは必然である。いまもそうだが、昔もそうだったということらしい。コーネリアスジーラの話すことによれば、サルの世界では、ゴリラとチンパンジーとオランウータンの性格は異なり、ゴリラは好戦的で、チンパンジーは平和的だという。彼らはチンパンジーで、あくまでチンパンジーの立場からそうしたことを話していることには注意が必要かもしれない。サルの世界におけるサルの違いとは、人間の世界における人種の違いだろうか。いや、国家かもしれない。そして彼らもまた自民族中心主義から自由ではなさそうである。