『ブラックパワー・ミックステープ』

まずは渋谷のrelations.デジタル試写室で『ブラックパワー・ミックステープ アメリカの光と影』を観る。監督はヨーラン・ヒューゴ・オルソンというスウェーデン人。
60〜70年代、スウェーデンのテレビ局がアメリカの公民権運動、いやブラックパワー運動を取材し、近年、そのフィルムが偶然発見されたという。この映画は、それらを編集し、さらに黒人ミュージシャンなどの有名人にそれを見せて、そのコメント音声をかぶせたものだ。
公民権運動といえば、不勉強な僕はキング牧師やマルコムXぐらいしか知らないが、この映画では、ストークリー・カーマイケル、アンジェラ・デイヴィスといった活動家たちの姿を描く。彼らがスウェーデンに来たときの講演などの記録もあれば、アメリカで彼らを取材したものもある。少しアメリカ史に詳しい人からすれば常識かもしれないが、彼らにせよキング牧師にせよマルコムXにせよブラックパンサー党にせよ、求めたのは黒人の権利だけではない、ということが強調されていた。彼らは貧しい者すべての権利を求めていたのだ。アッティカ刑務所の暴動事件にしても、それを起こした者の要求はごく常識的なものである。
非常に秀逸。プロデューサーがダニー・クローヴァーというのも興味深い。