『11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』など

朝から電車で鶴川へ。国士舘大学21世紀アジア学部の「生命科学と21世紀社会」の第9回で、先週に引き続き、テーマは出生前診断東尾理子が「クワトロマーカー」検査を受けながらも羊水検査を受けないことを決めたという報道にも触れながら、1999年の「見解」や、出生前診断の普及によって「ダウン症児は増減したのか?」という、ある意味で危険な問いに対する、茫漠としたヒントについて、などなどを簡単に解説する(ご興味のある方は『バイオ化する社会』第2章を参照)。リアクション・ペーパーを読む限り、学生さんの反応はまあまあよい。きちんと意見・感想が書かれている。先週から明らかに反応が変わった。悪くない傾向だ。

バイオ化する社会 「核時代」の生命と身体

バイオ化する社会 「核時代」の生命と身体

終了後、いつものように、教員控え室で人類学の先生と少しおしゃべりしてから新宿に移動する。ピカデリー新宿で、先週売り切れだった『ミッドナイト・イン・パリ』のプログラムを買ってから、少し時間調整して、テアトル新宿で、『11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち』を観る。いわずと知れた若松孝二の新作。表題通り三島の最期が描かれている。僕は10代から20代にかけていくつかの三島作品を読んだが、いい読者とはいえない(ちなみにいちばん印象深かったのは『仮面の告白』)。どちらかというと、荒俣宏の伝奇小説『帝都物語』(もちろんフィクション)におけるキャラクターとしての三島に親しんでいるかもしれない。あるいは猪瀬直樹による伝記『ペルソナ』の…。この映画で描かれていた三島の最期は、おおむね『ペルソナ』そのほかを通じて抱いていたイメージ通り。僕としては、冒頭の山口二矢など、三島が左右問わず、当時の「革命的行動」を見て「先を越された…」とあせっていた様子が興味深かった。井浦新演じる三島も、なかなか迫真に迫っていたように思う。三島に詳しい人が観たらどうなんだろう? エンドロールで参考文献がリストアップされていたのだが、『ペルソナ』はなかった? 僕が見落とした? 沢木耕太郎の『テロルの決算』――山口二矢についてのルポ――はあったけど…。


なお上映前に『かぞくのくに』の予告編を観た。実は、この作品は試写で観ていたのだが、感想をツイートしそびれていたと思う。かなり強く推奨したい作品である。監督は在日三世のヤン・ソンヒ。僕は、同監督の前作、ドキュメンタリーの『愛しきソナ』をやはり試写で観て、深く感銘を受けた http://t.co/UMjzDZ48 。残念ながらデビュー作『ディア・ピョンヤン』は未見だが。『かぞくのくに』は、監督初のフィクション作品だが、帰国事業で北朝鮮に行っていた兄が25年ぶりに帰国した、という物語には、監督自身の経験がかなり反映されているらしい。近くて遠いあの国との複雑な関係をいやがおうにも考えさせられた。『クロッシング』(キム・テギュン監督)とあわせておすすめしたい。


書き忘れていたが、映画を観る前、西新宿のキャノンのサービスセンターに行って、プリンタのACアダプタを別売りしてもらえないか相談したところ、なんと、僕のプリンタで必要なのは「ACアダプタ」ではなくて、「ACコード」だとのこと。勘違いしていた! 探してもないはずだ! 家でもういちど探してみることを勧められたのだが、念のため値段を聞いてみると、273円とのこと。で、帰室してから心当たりの場所を探してみると、やはり見つからない(苦笑)。が、キャノンのサービスセンターで買い直す必要はなさそうだ。おそらく、市販されているもの、たとえばこれ http://t.co/KCU0DViB でいいだろう。どこかで買おう。いずれにせよ、まだ見つからないものはいくつかある。引っ越してから10日以上経つのに、部屋のなかはまだダンボールだらけというのは問題であろう(苦笑)。