『ル・アーヴルの靴みがき』など

朝から国士舘大学町田キャンパス(21世紀アジア学部)へ。「生命科学と21世紀社会」で、先々週、先週と出生前診断について話したのだが、その流れで映画『ガタカ(GATTACA)』とその解釈・含意について話す。いつものように大谷いずみさんの見解を紹介。学生さんの反応は…うーん。


講義終了後、いつものように人類学を教えている先生と雑談した後、新宿へ。これまたいつものように映画館をいくつかまわり、新宿武蔵野館で『ル・アーヴルの靴みがき』を観る。フィンランドの巨匠アキ・カウリスマキの新作。しかし舞台はフランス。言語もフランス語。しかしいつもの女優さんが出ていた。カティ・オウティネン。いまだに名前を覚えられないw。しかし『マッチ工場の少女』もおばさんになりましたね…。フランスの港町ル・アーヴルで靴磨きを営む男性が主人公で、彼がガボンからロンドンに密航しようとしてたまたま同地にまぎれこんだ黒人少年と知り合い、やがて…というのが主なあらすじ。
カウリスマキの作品らしく、台詞はきわめて少なく、沈黙も多い。でも、この独特の間合いこそがカウリスマキ作品の味であろう。それは舞台がフランスになっても変わらないようだ。
ヨーロッパ映画では難民が登場することが多いが、この映画では、とくに何らかの政治的メッセージは込められていなさそう。その扱われ方は、『街のあかり』で登場した、職業訓練校しか出ていない若年非正規労働者と似ている。移民・難民であったら、たとえば『堕天使のパスポート』や『イースタン・プロミス』、『ジョルダーニ家の人々』のようにストレートに描くのももちろんいいが、この映画のような扱われ方も悪くない。その分、問題の根深さがしみじみとわかるような気もする……が、カウリスマキ自身がどれほど意識しているかは知らない。秀逸。


その後、これまたいつものように、ディスクユニオンプログレ店で、割引コーナーをあさる。この店はずっと激安セールをやっている。プログレはもう過去の音楽なのか。
まあ、そのおかげで今回も珍品を激安で手に入れることができた。僕が生まれて初めて生で聴いたプログレバンドは、知る人ぞ知る「ブラック・ペイジ」という日本のバンドである。高校生のとき、故郷のイベントで、いくつかのバンドが野外演奏するのを聴いたのだが、ラストが彼らだった(ちなみに当時の僕はプログレというジャンルの存在もわかっていたかどうかあやしい)。地元の楽器屋さんのお兄さんがメンバーと知り合いだったとか。
しかし音源をちゃんと手に入れたのは、大学生のときで、偶然見つけた中古のコンピレーション・アルバムに、彼らの演奏が1曲収録されていた(もちろんLPレコードである)。ブラック・ペイジの唯一のアルバム「オープン・ザ・ネクスト・ペイジ」がその後CD化されていたのは知っていたが、買っていなかった。で、今日激安で見つけた次第。これからリッピングする。

オープン・ザ・ネクスト・ペイジ

オープン・ザ・ネクスト・ペイジ

…というわけで、明日からしばらくは自室で、集中的に作業することになるのかな? それとも少しはでかけるか…。