『プロメテウス』

近所のシネコンで『プロメテウス』の「特別有料上映」を観る。周知の通り、リドリー・スコットの新作で、数年前に、『エイリアン』の前日檀をつくると報じられたが、その後、それとは関係ない作品になるとも報じられた作品である。映画会社による宣伝なども『エイリアン』シリーズとの関係を強調してはいないが、予告編の端々にはもちろん『エイリアン』シリーズとのつながりがほのめかされていたので、映画ファンはみな、同シリーズの前日檀として観るだろう。いうまでもなく僕もその1人。
最初の『エイリアン』で、リプリーたちが着陸した惑星に横たわっていた宇宙船と化石となった宇宙人の遺体について、同シリーズではまったく説明されなかった。今作はそれが解き明かされる作品だと数年前には報じられた。ネタバレしない程度に書いておくと、いちおう、その通りである。しかし「解き明かされた」とは言いがたい。かなりの謎が残されたままである。また(とりあえず1回観ただけでは)登場人物の行動に不可解な部分がかなりある。最近のハリウッドでは珍しくないことだが、明らかにシリーズ化を前提としているのであろう。
作品の出来としては悪くない。『エイリアン』の前日檀というからには、この映画の舞台はおそらく物語の時間軸としては『エイリアン』より前であると思われるのだが、最初の『エイリアン』がつくられたころよりもCGなどの技術が発達しているので、ずっと後のようにも見えてしまう。それともほんとに後なのだろうか? もっといえばこの作品で主人公たちが訪れる惑星が、リプリーたちが着陸した惑星と同じ惑星であるかどうかも、実のところはっきりしない(この点は僕が見逃していた可能性もある)。これ以上書くと、ネタバレになってしまいそうなのでやめておくが、要素あるいはテーマとしては、地球外生命探索、とくにパンスペルミア説、感染症、ロボットと人間、民営化された宇宙開発、フェミニズムなどなど。前シリーズから引き継いだものもあれば、新しく取り入れられたものもある。
上記のような不可解さがあるのでこれから出るレビューのなかには辛いものも少なくないだろう。僕としては、疑問が残り、誰かと議論したくなる映画であることは間違いない。そして、そうした映画はいい映画の定義でもあることも確認しておきたい。



追記:パンフレット買うの忘れた! というか、ショップにあったかなあ? 「特別有料上映」なので、なかったかもしれない。また別の映画を観るときに買おう。映画自体には描かれていない“裏設定”まで解説されているかどうかはわからないが…。