『おくりびと』

 毎月14日は、近所のシネコンのサービスデイである。まあ安いし、マイレージもたまるし、けっこう話題になっているらしいので、という軽い理由で、『おくりびと』を観る。これが大当たりだった。
「納棺師」の話で、山崎努が出演しているというと、どうしても往年の名作『お葬式』が思い出されるが、それと匹敵する傑作であろう。元チェロ奏者の主人公が夢破れ、妻とともに山形の実家に戻って納棺師になるという設定はユニークだし、主人公が住む家や務める会社など各舞台の描かれ方はきわめて緻密。モックンや山崎努の演技が秀逸なのはいうまでもないが、ヒロスエも好演だった。彼女の代表作になるのでは。何回かある食事のシーンが「生」と「死」との近しい関係を示唆するのもよかった。そしてもちろん、多くの人が指摘しているように、大いに笑えて、大いに泣ける。
 映画が終わったとき、僕の頭の中で流れていたのは----「イメージソング」を歌った女性歌手には悪いが----Coccoの「風化風葬」だったりする。歌詞の引用はやめておこう。08.9.14

伊丹十三DVDコレクション お葬式

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