『空とコムローイ』

 昨日のことだが----。
 午後、京橋の映画美学校『空とコムローイ』というドキュメンタリー映画の試写を観る。
 タイでは、お祭りのときなどに紙の熱気球をつくり、ろうそくの炎でそれを飛ばし、不幸や悪魔もいっしょに飛んでなくなるようにみんなで祈るという。その熱気球のことを「コムローイ」というそうだ。「空」というのは、登場人物である小さな女の子の名前「ファ」の意味。
 このドキュメンタリーは、タイの少数民族「アカ族」の女性や子どもたちが暮らすコンティップ村の人々、とくにファの成長を描いている。美しい風景と穏やかな人々。カメラはそれらを淡々と写すが、暗い影がないわけではない。麻薬、人身売買、エイズ……。この村、というか施設では、近隣の村からやってきた子どもや女性、というか少女たちが語学や刺繍を学びながら家族のように暮らしている。それを見守るのは、30年前にこの地にやってきたというイタリア人神父。ファのお母さんもこの施設の卒業生で、不幸な理由で、子どもを連れてコンティップ村に戻ってきたのだが……。
 撮影はすべて三浦淳子監督自身が行なったらしく、手持ちカメラのため、画面の揺れが気にならないこともなかったが、『A』以来、そろそろ慣れてきたかな。秀逸。
 それにしても、パンドラが配給する作品にはいいものが多い。08.9.20