クローン胚、HeLa細胞

 先日、ファン・ウソク事件について少しだけ触れましたが、中国の研究者がヒトクローン胚の作出に成功したと発表したようですね。
 
中国の研究チーム、ヒトクローン胚の作製に成功と発表
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090203-OYT1T00412.htm?from=navr
中国でヒトクローン胚作成=医療への応用目的?山東省研究チーム
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200902/2009020300016
中国でヒトクローン胚成功 パーキンソン患者の細胞で
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009020201000748.html
Human embryos cloned for treatment in Shandong
http://www.chinadaily.com.cn/china/2009-02/03/content_7441942.htm


 使われたのは、12人の女性から採取された卵子135個。それらに健康な人やパーキンソン病患者の体細胞を核移植し、5個のクローン胚を作製できたとのこと。ES細胞はつくられていないようです。
 目指しているのは、セラピューティック・クローニングでしょうか。ウィルムットでさえ、半ば放棄(?)しているのに。選択肢は多いほうがいい、ということなのかもしれません。
          ※
 上記と若干関係するのですが、諸事情で、「HeLa細胞」----世界で最初に樹立されたヒト細胞株。いわばES細胞やiPS細胞の先祖----について調べていたところ、偶然にも、HeLa細胞を「汚染」源として調査した研究者ウォルター・ネルソン・リーズが最近、亡くなったことを知りました。
 
Walter Nelson-Rees, UC Berkeley geneticist dies
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2009/01/27/BA9V15HD4P.DTL


 享年80歳。彼の名前「ウォルター・ネルソン・リーズ」と、HeLa細胞の「由来者」の名前「ヘンリエッタ・ラックス」が、それぞれ、医学史・生物学史のなかでどのように残っていくのか、興味深いところです。09.2.11