原因と結果

 空気を読んでインフルエンザ。
 おそらく休日返上で働いておられるであろう(お疲れさまです)国立感染症研究所WHOも、アメリカでの2例目(アメリカ人としては1例目)をまだカウントしていないようですね。
 それはともかく、

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、女性は33歳の教師で、感染による合併症で4月14日から入院していた。ABCテレビは、女性は重度の肥満で胆石があり、肺炎の感染歴があったと報じた。(「米国人で初の死亡、新型インフル テキサス州の女性」、『共同通信』2009年5月6日)

http://www.47news.jp/CN/200905/CN2009050601000035.html

 ということですから、この人の死亡の「原因」は1つ(新型インフルエンザ=ブタ由来インフルエンザA/H1N1)だけではないことがわかります。
 この件に限りませんが、原因と結果との関係は、1対1(1つの原因で1つの結果が起こる)であることなどはまれで、ほとんどの場合、多対多(複数の原因で複数の結果が起こる)です。
 ならば対策も同様でしょう。手洗いなどは、インフルエンザ一般どころか感染症全般に通用する予防法です。検疫の強化などは……やや過剰な印象もありますし、コストの問題もありますが、日本の公衆衛生のレベルがそれだけ上がった証拠だともいえます。
 先日、寺田寅彦の言葉(とそれを紹介した元村有希子氏のコラム)を紹介しましたが、それを踏まえれば、新型インフルエンザを「怖い!」ということも「怖くない!」ということも、どちらも知的に怠慢です。