今日のインフルエンザ

 今日の国士舘大学では……インフルエンザといっしょに麻疹についても警告されているところが大学っぽいでしょうか。


 旧聞に属しますが、11日に大規模調査の結果が出ましたね。

【ワシントン11日共同】世界に広がっている新型インフルエンザの致死率は1957年のアジア風邪並みの約0・4%で、感染力は季節性インフルエンザよりも強いとする初期データの分析結果を、国際チームが11日、米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。〔略〕チームは、旅行者を通じた世界各国への感染拡大の状況などから、4月末にメキシコで感染者は2万3000人いたと推計。当時の死者数から、感染後の致死率は約0・4%で、1918年出現のスペイン風邪(約2%)よりは低いが、アジア風邪(約0・5%)に匹敵するとした。〔略〕(無署名(共同通信)「新型インフルの致死率0・4% 国際チームが分析」、『共同通信』2009/05/12 10:20)

http://www.47news.jp/CN/200905/CN2009051201000204.html

 論文の本文はもちろん、補足データも全部無料で公開されています。


Pandemic Potential of a Strain of Influenza A (H1N1) : Early Findings
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/1176062


 やっとまともなデータが出てきたと思ったのですが……。
 メキシコでは、4月末の時点で2万3000人が感染したと推測されており、確定症例は4月30日の時点ではわずか97人でしたが、11日の時点では1626人に跳ね上がり、19日現在では3648人がカウントされています。発症率というか重症化率をどう計算すべきでしょう。仮にこの4月末の感染者数を分母にし、現在の確定症例を分子にすると、15パーセント? もちろんこの数字は日本にはあてはまらないでしょう(もっと低いのでは)。致死率も、日本では0.4パーセントよりも低いと思います。
 しかしながら、5月18日6時(グリニッジ標準時)現在の最新データで、確定症例数を分母とした致死率は0.8パーセント。
 日本の確定症例数の急上昇は、ようするに精度が高い検査がそれだけしっかりと行なわれているということなのでしょうが……いやな感じがしないこともありません。09.5.19


追伸;
 しかしそれでもなお、最も被害の大きい土地からの声をよく聴く必要があるでしょう。

〔前略〕メキシコでは約70人の死亡者が確認され、多くの専門家が「この国で死者が多いのは貧困が原因では」と指摘している。国内で3人に1人が最低限の生活費を得られず貧困にあえぐ。感染者の階層を含め詳細な分析が必要だが、貧困層が保健衛生や医療の届かない生活を送っているのは疑いようがない。
 メキシコや米国、カナダを旅した人々が世界中に散り、新型インフルエンザが拡散している。そして、最も深刻な被害にさらされるのは、その日を生きることに懸命で医療から離れた貧しい人々である。残酷な現実だ。「富める国」と「貧しい国」の間では対応力に当然落差がある。
 WHOのマーガレット・チャン事務局長は警戒度をフェーズ5に上げた際、「インフルエンザは豊かな国では軽い病気だが、発展途上国では重病であり命取りになる」と警告した。この言葉を国際社会は重く受け止めるべきだ。(庭田学「記者の目:新型インフルエンザ メキシコの教訓」、『毎日新聞』2009年5月19日1時52分)

http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20090519k0000m070130000c.html


追伸その2;
 総会の最中のWHOからも……。

ジュネーブ 18日 ロイター] 世界保健機関(WHO)は18日、新型インフルエンザ(H1N1型)について、人から人への感染が世界中で急速に拡大し続ける公算が大きいとの見方を示した。
 マーガレット・チャンWHO事務局長は年次総会で、新型インフルエンザがH5N1型鳥インフルエンザウイルスと混合した場合、大きなリスクにつながる可能性があると指摘。新型インフルエンザの感染拡大により、鳥インフルエンザウイルスがどのように変異するかは誰にも予想できない、と語った。
 また、HIVエイズや肺炎の患者にとってリスクとなる可能性や、混雑したスラム街などでの感染リスクを指摘した。(無署名(ロイター)「新型インフルエンザの感染、急速に拡大続ける公算=WHO事務局長」、『ロイター』2009年 05月 19日 04:16 JST

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-38078020090518