マクドナルド再考

 ある人からコーヒーのサービス券を大量にもらったので、ほぼ毎朝、医療の街のマクドナルドに立ち寄り、無料でコーヒーをテイクアウトしてから編集部に向かう。
 レジでいつも対応してくれるのは、50代と見られる男性だ。少なくとも1カ月前から同じ場所で同じ仕事をしているようだが、仕事ぶりはおぼつかない。あくまでも想像だが……最近まで別の仕事に就いていたのだがその職を追われ、流れ流れてマクドナルドでやっと職を得たのかもしれない。コーヒーをつくって彼に渡す男性はずっと若く、胸元のバッジには「マネージャー」と書かれている。つまり上司だろう。上司は年下、というのは複雑に違いない。
 武田さんはいつだったが、ホームレスの老人が100円で夜を過ごせるマクドナルドは優しい。と書いていた。非情な社会からこぼれ落ちた人たちに低賃金とはいえ職を与え、社会復帰の機会を与えているとしたら、その意味でも、マクドナルドは優しいかもしれない。
 しかし僕も彼に同情している余裕はない。明日は我が身。アップルパイぐらいカネを払って頼もうかなと思ったりもするが、たぶん明日の朝も、頼むのは無料のコーヒーだけだろう。09.11.30