アメリカン・ニューシネマ再考

 昨晩のことだが、ある偶然のきっかけで、『カッコーの巣の上で』のDVDを鑑賞した。何回目かはわからないが、再見であることは間違いない。
 僕は『メディカルバイオ』2009年11月号の連載やJCcast第31回で、ジャック・エル=ハイ著『ロボトミスト』(ランダムハウス講談社)を紹介しながら、自分がいわゆるロボトミーに悪い印象を持っている理由として、この映画の影響があることを書き、話した。周知の通り、ジャック・ニコルソン演じる主人公は、反抗に反抗を重ねた結果、最後に何らかの処置を受けて、無表情な状態になってしまう。僕はその「何らかの処置」がロボトミーだと記憶していたのだが、今回観てみたら、頭部の傷跡でほのめかされていただけだった。電気ショックについてはそれそのもののシーンがあるが、ロボトミーについてはない。まあ、ほのめかされていたことは間違いないので、僕が書いたことも話したこともミスにはならないだろう。
 それよりも、この映画の要素には、安楽死尊厳死もあることにいまさらながら気づいた。つまり『海を飛ぶ夢』、『ミリオンダラー・ベイビー』、『私の中のあなた』と同じ。
 最近、この映画も含めていわゆる“アメリカン・ニューシネマ”に属する作品を連続して観たのだが、それらの偉大さにもあらためて気づかされた。昨年暮れに観た『パブリック・エネミーズ』も、『俺たちに明日はない』をはじめとするアメリカン・ニューシネマを彷彿とさせるものだったし。10.1.24


第31回 科学ジャーナリズムとWikipediaとワクチン
http://www.journalism.jp/podcasts/2009/11/31.html


Medical Bio (メディカルバイオ) 2009年 11月号 [雑誌]

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