『サロゲート』、『Dr.パルナサスの鏡』

 映画の日。仕事帰りに途中下車して、いつものシネコンと同じ系列の別のシネコンへ。ここもやはりショッピングモールのなかにある。
 観たのは『サロゲート』と『Dr.パルナサスの鏡』。
 前者は、“サロゲート(代理)”って、『アバター』と同じ線のアイディアだね、と思ってあまり期待せずに観たらまあまあだった。悪くはなかった、というほうが正しい。ラストは安直。“人間礼讃”だけでいいのか? ロボット、サイボーグものもこのあたりが限界かもしれない。『攻殻機動隊』のパクリ、いや失礼、オマージュ的なシーンもあった。
 後者は、テリー・ギリアムの新作、ヒース・レジャーの遺作と聞けば、期待しないわけにはいかない。でも“鏡の中の異世界”って、もう何百回も繰り返されたアイディアじゃないの、と猜疑心を抱きながら観たら結構よかった。単純な子ども向けファンタジーかなと思っていたら、そうではなく、これまでのギリアムの作品と同じく、観客にあるていどの解釈あるいは想像力を求めるスタイル。いうまでもないが、僕はこうしたスタイルを作品として当然のことだと思う。僕はいまでも『未来世紀ブラジル』を“理解”しているとは言い難い。しかし、いったいどうしたら、『未来世紀ブラジル』や『ブレードランナー』を“理解”することができるのだろう? CGもなかなか工夫が利いていて、単なるこけおどしにはなっていなかった。
 2本見終わるともう深夜。店舗が閉まり、ゲームセンターの音だけが響くショッピングモールの雰囲気は、いつものことながら好きになれない。建物を出ると、みぞれまじりの雨は雪に変わっていた。そんな詞の歌があったね。10.2.1