『シャーロック・ホームズ』

 社会学者として公認されたからといって、生活が急に変わるわけではない。曜日や時間に関係なく仕事をし、本を読み、映画を観て、音楽を聴き、また仕事をする。もちろん、そのあいまに、食べて寝る。
 今夜は『シャーロック・ホームズ』を観てきた。予想通り、コナン・ドイルの原作とは、キャラクター、時代背景などの基本設定以外、ほとんど関係ない。それでも、ホームズが初対面の人物のあらゆることを瞬時に見抜いたり、妙な実験に夢中になっていたりすることなど、原作への敬意はいたるところに感じられた。原作のホームズは“バリツ”とかいう日本の武術の心得があることになっていたはずだが、この映画のホームズの格闘能力はかなり本格的。ハドソン夫人など原作でおなじみのキャラも登場するが、嶺不二子みたいな女ドロボーは映画オリジナルだろう。でも敵は、「ブラックウッド卿」だったりする。原作の設定に、格闘アクションと猟奇殺人、宗教・魔術・科学ミステリーのテイストを加えたもの、といったところ。『羊たちの沈黙』へのオマージュと思われるシーンがあったというは僕の気のせいかな。続編への布石ももちろんあった。
 かなり秀逸。次は何を観るかな。10.3.21


追伸;
「女ドロボー」は、ある短編に登場するキャラだとご指摘がありました。もちろん、徹底的に脱構築されているでしょうが……。