HeLa細胞、フィリピンの臓器売買

 twitter全盛のいま、ブログなんて誰にも読まれていないような気もするが、とにかく更新しよう。
 午前中からガッコへ。ガッコといってもメーガクでなく、国士舘大学町田キャンパス。先週から始まった「生命科学と21世紀社会」の第2講。この講義は今年で5年目。3年目までは人数が多くてたいへんだったが、昨年から少なくなった。たぶん、「あの先生は単位をくれない」という噂が広まったのだろう(笑)。もちろん、受講者が少なくても楽になるわけではない。今年は、単為互換制度を使って美術系大学の学生さんが参加している。同じ時間にカルチャー関係の講義もあるのに、なぜか僕の講義を選んでくれたようだ。こういう奇特な(?)学生さんが1人でもいる以上、手抜きは絶対にできない……というように、自分を鼓舞していないとこの仕事は続けられない。
 先週はイントロダクションとしてiPS細胞についてざっと話した。今日はヘンリエッタ・ラックスとHeLa細胞について。ES細胞やiPS細胞について講義できる教員はやまほどいるだろうか、HeLa細胞、いやヘンリエッタ・ラックスについて90分話し続けることができるのは、全国でも僕ぐらいだろう(笑)。
 以下、今日ではなく、先週の講義で配付したレジュメから。あくまでも「計画」。

授業計画

第1回 イントロダクション:「万能細胞」の誕生

第2回 HeLa細胞:ヘンリエッタの、永遠の生

第3回 韓国で起きたこと:ファン・ウソク事件

第4回 クローン技術:複製技術時代の生命

第5回 ES細胞再生医療):試験管から臓器が芽生える日

第6回 生殖技術:ただ「授かる」ものではなく

第7回 生殖技術:ただ「授かる」ものではなく(2)

第8回 出生前診断:条件付きの祝福

第9回 出生前診断:条件付きの祝福(2)

第10回 映画『GATTACA(ガタカ)』の世界

第11回 続・韓国で起きたこと:ファン・ウソク事件再考

第12回 iPS細胞:新しい万能細胞

第13回 幹細胞ツーリズム:グローバリゼーションのなかの医療

第14回 生命倫理:iPS細胞が解決すること、しないこと

第15回 エピローグ:資源化するからだ

 池袋へ移動。立教大学で定期的に開かれているらしい「環境・平和研究会」で、元新聞記者の藍原寛子氏がフィリピンの臓器売買について話すのを聞く。秀逸。フィリピンでも臓器売買は禁止されているのだが、当局のコントロールは効いていないらしい。討議の時間には、臓器売買を合法化したイランの例や幹細胞技術の展望、メディカル・ツーリズムなどについて僕から少しコメントさせてもらった。10.4.24