「幹細胞医学が見る夢」

 自室から電車で数分のところで開催された日本SF大会のシンポジウム「幹細胞医学が見る夢」を傍聴。作家の瀬名秀明氏、ブレイン・マシン・インターフェイスの研究で知られる牛場潤一氏、そして幹細胞研究の第一人者・岡野栄之氏がそれぞれ講演した後、東浩紀氏が加わってパネルディスカッションが行われた。司会はこれまた幹細胞の世界ではおなじみの八代嘉美氏。
 当然ながら、全体的に幹細胞技術に肯定的な議論がほとんど。このタイトルだから仕方ないかもしれない。数点興味深い情報や論点があったのが、会場が暗くて、というかその気になれなくて、メモをとらなかったことが後悔される。
 科学技術の変容によって、倫理もまた変容する、もしくはしなければならない、もしくはせざるをえない、というのはその通りだと思う(僕自身は「倫理」という言葉遣いにはやや慎重にならざるをえないのだが)。しかしながら、その過程で生じる摩擦を最小化する努力は必要だろう。
 SFというのは、科学批評、もっといえば社会批評の役割も担っているはず。その側面はいまいち強調されなかったようだ……と思ってしまうのは、僕のほうの問題なのかな。SFの社会批評としての機能など、もう過去形だったりして。
 会場はコスプレの人が目立つ。コミケもこんな雰囲気なのだろうか。僕はなじめない。帰りの電車では浴衣姿の若い人が目立つ。今日は花火大会らしい。いまも花火の音が聞こえる。どちらも僕とは遠い世界の出来事だ。