帰室、訃報、幹細胞

 というわけで、夕方、帰室。
 今回は、25日の午前中、名古屋大学で仕事をした後、そのまま高速バスで“日本のデトロイト”に移動。4泊。いつものようにLPレコードで時代遅れの音楽を聴きながら、西村尚子さんの『知っているようで知らない免疫の話』(技術評論社)ほか数冊を読了。

 多田富雄先生が逝去し、改定臓器移植法が施行され、新型インフルエンザの終息が宣言されたいま、時期を得た出版であろう。
「免疫」というと、まさにこのように、感染症や臓器移植の話から解説を始めてしまいがちである。僕も免疫について書いてくれと依頼されたら、たぶんそうするだろう。しかしこの本では、生物全体の進化史における免疫の位置づけが論じられている。当然のことながら微生物や植物の免疫についても解説される。そこが個性的。図説もわかりやすくていい。大学の講義で幹細胞などについて話すさい、当然ながら免疫についても話さなくてはならないときがあるのだが、使えそうなフレーズもいくつか見つけた。


 当地で今敏氏の訃報を知る。故人はいうまでもなく宮崎や押井と並ぶアニメ映画監督で、この人を失うことは日本文化にとって大きな損失である。『パーフェクト・ブルー』、『千年女優』、『パプリカ』は、『インセプション』をはるかに先取りしていたとも考えられる。ご冥福をお祈りします。


 アメリカで幹細胞政策が蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。とりあえず、メモっておく。

 この件、まだまだ荒れそうだ。