「アジェンダ設定会議」で思ったこと

 週末、大阪大学で開催された「「熟議キャラバン2010 -再生医療編-」 アジェンダ設定会議」にパネルの1人として参加してきた。土曜日の午前11時から日曜日の夕方5時まで、みっちりと再生医療について議論した。このプロジェクトについて適切に説明するのは僕には難しいし、いずれ平川秀幸さんや春日匠さんがどこかで報告すると思うので、詳しくは書かない。僕としては(負担も大きかったが)たいへんいい経験をさせてもらったと思っている。
 とりあえず思ったことは主に2つ。
 まず、僕自身が幹細胞について問題にしてきたことが、このiPS細胞時代においては、もはや過去になってしまったということ。仕方がない。また考え直すしかない。
 また先日、一聴衆として参加した、日本SF大会における「幹細胞医学が見る夢」というイベントでなされたアンケートが思い出された。それには、たとえば、幹細胞から精子卵子を分化・誘導することについてどう思うか、といった、よくも悪くも非常にきれいに整理された質問項目が並んでいた。おそらくいずれ、八代嘉美さんがまとめて分析し、結果を発表するのだろう。
 一方、僕が1人のパネルとして参加した「アジェンダ設定会議」では、人々が再生医療に対して抱くさまざまな思いや疑問が、ある意味では混沌としたまま、浮かびあがってきた。それは、「幹細胞医学が見る夢」で実施されたアンケート調査(やこれからなされるであろうその分析)とは、おそらく大きく異質であろう。僕は、その異質さにも興味がある。
 なお今日は、明治学院大学社会学部での講義「技術と人間B」の初日だった。例によって、今後の授業の概略をざっと話した。もちろんiPS細胞などについても。
 そのまま御茶の水に行き、夜半まで作業してから帰室。
 そうして僕の日常は再開される。