「試験管革命」など

2日前のことだが、体外受精の技術を開発したことで知られるエドワーズが、ノーベル医学生理学賞を受賞することが決まった。
2007年には、1981年にES細胞の樹立技術を開発したマーチン・エバンズが受賞した。エバンズはマウスの胚からES細胞を初めて樹立したのだが、ヒトの胚からES細胞を初めて樹立したのはジェームズ・トムソンで、1998年のことである。そのとき使われた胚は、体外受精で子宮に戻されず、廃棄されることが決まった胚、いわゆる「余剰胚」である。つまりヒトES細胞体外受精なしにはありえない。
その体外受精の成功という功績で、今年の授賞者が決まったということだ。ステプトウとの共同開発だったが、すでに故人なので、単独受賞になったようだ。
もちろん、称賛ばかりではない。バチカンは当然ながら批判的なコメントを示したようだ。

バチカン体外受精技術へのノーベル賞に不快感

2010年10月5日10時17分

 【ローマ=南島信也】ローマ法王庁バチカン)は4日、今年のノーベル医学生理学賞が世界初の体外受精児を誕生させたロバート・エドワーズ英ケンブリッジ大名誉教授(85)に決まったことについて不快感を示した。ANSA通信が伝えた。
 バチカン生命倫理問題を担当する生命アカデミーのパウラ委員長は「エドワーズ教授を選んだことは不適当である」と批判。コロンボ委員も「深刻な道徳的疑問を引き起こす」と懸念を表明した。
 バチカンは、受精卵の段階で人間とみなす考え方をとっており、受精卵の中から最適なものを選んで子宮に戻し、残りを捨てる体外受精に対して反対の立場を示している。

http://www.asahi.com/international/update/1005/TKY201010050090.html

山中先生がiPS細胞の功績で受賞したら、バチカンは称賛するのだろうか?
それはともかくとして、いつものことではあるが、英語圏の記事のなかには、単なる発表報道ではなく、歴史的背景に踏み込んだものもある。
気がついたものだけメモ代わりにリンクしておく。ご参考までに。

ところで、体外受精といえば気になっていることがある。英語圏のメディアは定期的に触れているが、国内のメディアはあまり触れないこと。これを機に調べ直してみるかな、と思いつつ、気が重い。