『ザ・タウン』

 毎月14日はTOHOシネマズのサービスデイである。夜、それを利用して、六本木ヒルズにあるTOHOシネマズで『ザ・タウン』を観る。この映画は前評判がかなりよかったにもかかわらず、かかっているところが少ない。だから六本木まで行ってきた。でなかったら、あんなところ行くものか。
『ザ・タウン』はいわずと知れた、ベン・アフレックが主演だけでなく、脚本と監督まで手がけた作品。強盗団のリーダーの男が、手違いから人質にとった女と、恋に落ちる、というあらすじを事前に知ってしまい、ありえないんじゃないの、と思って観てみたのだが、確かにありえないことだとは思うが、映画としてはたいへん面白かった。強盗と人質、どころか、(表向きの仕事として)肉体労働に就いている男性と銀行の支店長を務める女性、という組み合わせでさえ、ありえないと思ったが、そんなこと途中で忘れてしまった。
 銃撃戦、強盗の手さばき、その日その日を生きる主人公たちの暮らしぶりなど、どれもきわめてリアルだった。強盗グループのリーダーでありながらも、人質にとった女性との恋をきっかけに、自分を変えたいと願う主人公のもがきぶりもなかなか。
 ボストンというと、繁栄したアメリカ都市というイメージがあるが、この映画の舞台となるチャールストンという街のように、そのようなイメージにはそぐわない地域もある。それは東京が、六本木のような場所だけではないことと同じなのだろう。
 映画館を出ると、外にはうっすらと雪が積もっていた。