松崎有子さんのこと
3月23日、友人のフリーライター、松崎有子さんが亡くなりました。
さきほど出版業界関係のメーリング・リストに投稿した文章を、以下に転載します。
粥川準二です。
松崎有子さんについて、少しだけ書きます。
僕は、現在の仕事につながるキャリアを、日本リサイクル運動市民の会(らでぃっしゅぼーや)の会員誌『くらしの木』編集部での学生アルバイトとして始めました。松崎有子さんは同誌の常連ライターでした。松崎さんは神戸在住で、当然ながら阪神大震災を被災し、同誌で現地ルポを連載していました。
僕は大学を卒業してもその編集部に居座り、一度だけ、僕が担当するページで松崎さんに取材・執筆をしてもらったことがあると思います。
僕はその編集部をやめ、フリーになってから、石井政之さんを通じて、松崎さんと再会しました。石井さんは当時、さいろ社の雑誌『いのちジャーナル』の編集部にいて、松崎さんと僕は同誌のライターでした。同じ号で、松崎さんがインターセクシャルについて書き、僕が環境ホルモンについて書いたこともあります。
石井さんがフリーになって東京に出てきてからも、3人でいろいろな仕事をしました。ムック『別冊宝島 病院に殺される!』(宝島社)、単行本『性転換マニュアル』(同文書院)など。
松崎さんの最初の単著『ホームヘルパー最前線』は、現代書館から出ました。現代書館を紹介したのは、僕です。
そのほか『月刊がん』(日本医療企画)や『イリホリ』(エクスナレッジ)でもごいっしょしました。両方とも僕が紹介しました。
こうして振り返ると、僕はけっこう多くの編集者に彼女を紹介したのですが、どの人からも感謝されました。
得意分野は医療や福祉。老人、ALS、インターセックスなど、つねに弱者に寄り添いながら、地味ながらも着実な仕事を続けておられました。自身も持病をお持ちだったはず。
僕が腰痛に苦しんでいたときにお見舞いのようなメールをもらった記憶があります。最後にメールのやり取りをしたのは、『イリホリ』の仕事を紹介したことのお礼とその返事だったと思います。
膵臓がんは、がんのなかでも、治療が難しいものです。おそらく松崎さんはそのことをご存じだったでしょう。
さいろ社の松本さん、ライター(兼NPOスタッフ)の石井さんは、それぞれ追悼の文章を残しておられます。僕はいつもの日記のなかで、少しだけ触れました。
http://www.sairosha.com/henkotu/nissi.htm
http://ishii.typepad.jp/blog/2011/03/deathofawriter.html
http://d.hatena.ne.jp/KAYUKAWA/20110325松崎さんと親しかった人も、みんな晩年は疎遠だったようです。僕もそうです。
震災を経験し、震災について書いた松崎さんが、その震災が忘れられかけた頃に起きた、新たな震災とほぼときを同じくして亡くなったのは、なんというか、運命のいたずらのようなものを感じます。
とりあえず、以上、皆さんにお伝えします。松崎さんの冥福を心よりお祈り申し上げます。
あらためて、松崎有子さんのご冥福をお祈りします。
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