「eros / thanatos生と死の幻想」、『ヒバクシャ』など

本日は国士舘大学21アジア学部の「生命科学と21世紀社会」の第3回として、ファン・ウソク事件について話す。今年はキルギスからの留学生がいて、毎回最前列で聞いてくれているのだが、ちょっと難しかったかな。終了後に補足。


渋谷に移動してBunkamuraの1階のギャラリーで「eros / thanatos生と死の幻想」という展覧会を観る。何度か個展を鑑賞したことがあり、本人にお会いしたこともある日乃ケンジュさんの作品が目当てだったのだが、彼女の作品はたった2点で少し残念。
1点は2008年か2009年ごろの作品で、「捨てられた街」というタイトルだったと思う(が、自信はない)。誰も住んでいなさそうな洋館と浜辺を、おそらく木炭で描いたものだが、その静謐さが、先日見てきた陸前高田や大船渡といった被災地を思い出させなくもない(追記:いや僕が見てきた被災地のなかでもっと似ているのは、津波の被害は受けていないが、半ばゴーストタウン化していた南相馬か)。副題に「模写」と書かれていたので、誰かの模写なのかもしれない。もう1点は、もっと最近描かれた作品だったのだが、動物らしきものの記憶しかない。こちらも「模写」と書かれていたような気がする。日乃さんの作品は、もっとまとめて観たいなあ。


アップリンクに移動。『100000万年後の安全』を観たかったのだけども、時間が合わなかった。その代わり……ではなく、やはり観たかった『ヒバクシャ 世界の終わりに』を観る。いわずと知れた鎌仲ひとみ監督の旧作。
広島、長崎、イラク劣化ウラン弾)、ハンフォードといった、核の現場をめぐるドキュメンタリー。硬派ドキュメンタリーは、なかなか人が入らず、監督も映画館も苦労すると聞くが、会場は満員。旧作なのに。これもタイミングであろう。もちろん秀逸。欲をいえば、ハンフォードで核を肯定しながら生きる人々の姿をもう少し彫り込んでほしかったが、求めすぎであろう。ちなみに本日、移動中に読んでいたのは、飯田哲也・鎌仲ひとみ『今こそ、エネルギーシフト』(岩波ブックレット)。あるご縁で編集者から献本されたものだが、いいタイミングで読むことができた。

今こそ、エネルギーシフト――原発と自然エネルギーと私達の暮らし (岩波ブックレット)

今こそ、エネルギーシフト――原発と自然エネルギーと私達の暮らし (岩波ブックレット)

しかし、ブックレットということもあって、僕的には情報量に物足りなさを感じる。が、もちろん良著だと思う。アップリンクでそのまま『100000万年後の世界』を観ようかとも思ったのだが、疲れたので帰室。でも、これも観るならいましかなさそうな作品だね。忘れないようにしよう…。