「レンブラント 光の探究/闇の誘惑」

本日午後、名古屋市美術館で「レンブラント 光の探究/闇の誘惑」を観る。先日、豊田市フェルメールを観たばかりだが、どちらも東京での開催を観逃してしまっていて(たぶん震災の間接的影響)、どちらも愛知で観ることができた。フェルメールのチケットを見せれば200円割引というのは面白い、というか、愛知県らしいサービスかもしれない。

フェルメールレンブラントもオランダの巨匠。僕が2006年にオランダを訪れたときは、ちょうどレンブラントの生誕400年のときで、ライデンもアムステルダムもKLM機もレンブラントだらけだった。そんな思い出にひたりながら、じっくりと鑑賞した。
レンブラントフェルメールと違って、残っている作品はきわめて多いので、出展されていた116点の作品のほとんどがレンブラントのものだった。チケットやポスターに使われいたのは、油彩で描かれた「書斎のミネルヴァ」。タイトル通りギリシャ神話の神ミネルヴァを描いたものだが、モデルは最初の妻サスキアらしい。僕はむしろ、(愛人を除く)2番目の妻を描いた「ヘンドリッキェ・ストッフェルス」のほうが印象に残った。あの憂鬱そうな表情は忘れられない。
レンブラントは周知の通り、油彩だけでなく版画でも有名で、今回の展覧会では、彼が和紙を使ったことに着目し、同じ原板で、西洋の紙に刷ったものと中国や日本の紙に刷ったものが、比較できるように、並べられて展示されていた。解説文は、レンブラントが和紙を使ったのは単なるオリエンタリズムではなく、彼なりの試行錯誤であったことを強調していた。しかし、僕の目には、西洋の紙に刷られていたもののほうがクリアなように見えていいと思った。それとも僕の鑑賞眼が悪いのかな。
また当時のヨーロッパの芸術家でオリエンタリズムから自由でいられた者など希有だろう。東洋の芸術でオキシデンタリズムから自由でいられる者が希有であるように。
いずれにせよ、秀逸。常設展はパスし、ミュージアムショップをざっと見てから地下鉄の駅へ。白川公園周辺には、地下鉄の駅の位置を示すものが何もなく(!)、伏見駅まで辿りつくのに時間がかかってしまった。誰もがクルマを持っているか、もしくは在住していて地理を把握していることが前提になっているのだろうか。美術館だけでなく、日本屈指のプラネタリウムがある科学館もあるのに。しかし残念ながら、愛知県ではよくあることである。名古屋駅のホームできしめんを食べてから新幹線で関東に戻る。