『エンド・オブ・ザ・ワールド』(『渚にて』)

地震津波を描いた映画がないかなと思って、TSUTAYAの「アクション」コーナーの「パニック」という棚を眺めてみたら、『エンド・オブ・ザ・ワールド』といういかにもB級っぽいタイトルの作品があり、「核戦争」云々と書いてある。あまり考えずに借りて、観てみたら、原題が「On the Beach」とある。「えッ?」と思って調べてみたら、やはりネビル・シュートの『渚にて』を原作としたテレビ映画だった。2000年にオーストラリアでつくられたもので、アメリカ映画の『渚にて』とは別ものらしい。それにしても『エンド・オブ・ザ・ワールド』という邦題はひどい。
全面核戦争が勃発し、北半球が消滅する。アメリカの潜水艦が戦火を免れたオーストラリアに寄港する。南半球にも徐々に放射能が迫ってくる。楽観的な者と悲観的な者がいて、出会いと別れと再会がある。登場人物たちはわずかな望みを託して、再び潜水艦に乗り込み、アラスカをめざす。途中、Eメールを傍受する。ほとんど文字化けしているが、「絶望しないで」とかすかに読める。彼らは希望を持ってアンカレッジに着くのだが……しかし……残念ながらハッピーエンドは訪れない。登場人物たちが放射能によって1人また1人と病気になっていく様子は、どこまで医学的に正確なのだろうか。しかしそんなことは問題ではないだろう。
人類が滅亡するとわかったとき、人はどう過ごすべきなのか、いやどう過ごすことを強いられるのかを考えさせられる。映画の歴史に残るような名作とは言い難いが、心にしみる作品ではある。
なお僕がネビル・シュートの『渚にて』を読んだのははるか昔で内容をよく憶えていないので、『エンド・オブ・ザ・ワールド』がどれだけ原作に忠実なのかはわからない。しかしEメールなどは原作とは違うだろう。映画も(たぶんVHSビデオを借りて?)観たはずだが、あまり記憶がない。いい機会なので、少なくとも映画のほうはDVDを探して観ておこう。