Cocco「ザ・ベスト盤ライブ5本〆」

昼頃にメーガクへ。3限の「技術と人間B」初回でいつものように講義のイントロダクションとしてiPS細胞についてごくおおまかなことを話す。「科学技術にはプラスの面もあれば、マイナスの面もある。2011年3月11日以降の世界に生きる僕たちはそれを身体で感じているはずだ」とアジる(笑)。
いつものようにリアクションペーパーを書かせたのだが、ある学生さんは、理論?に問題があるとわかって理論?が出てくる、でもそれに問題があることがわかり…ってきりがないじゃないですが(大意)、とコメント。その通りだ。それでも考え続けなければならない、思考停止は死だ、と来週話そう。


図書館で原発関係の本をあさってから、電車を乗り継いで東京テレポートへ。Zepp TokyoCoccoの「ザ・ベスト盤ライブ5本〆」を観る。「エメラルド」のツアーと同じ場所。そのときはちょっとした偶然で最前列で観ることができたのだが、今回は入場整理券番号1481ということで、あまりいい位置ではなかったが、観られただけでもよしとしよう。
今回は題名通り、ベスト盤の発売(とデビュー15周年)に合わせたツアーで、曲目は予想通りシングル曲が中心、しかもおおむね時系列で歌われた。1曲目は「カウントダウン」、2曲目は「強く儚い者たち」、3曲目は「Raining」だったと思う。
そのため残念なことに、「え、この曲やるのッ!?」みたいな驚きはほとんどなかった。そのこと自体が予想通りだ。1点を除いて。途中、ドラムとピアノのみのアドリブ演奏が数分間続いた。ソロアーティストでこういう演出は珍しい。何をやるのかな、と思っていたら、聞き覚えのある、アコギのカッティングが……SINGER SONGERの「初花凛々」だった! これには心底驚いた。僕はてっきり、CoccoSINGER SONGER時代の曲は封印していしまったと思っていた……が、そんなのはもちろん、勝手なファンの思い込みである。 大村達身がギターを弾いていることを考えれば、別に不思議ではない。(訂正:大村達身SINGER SONGERのメンバーではありませんでした。勘違いしていました。でも「別に不思議ではない」ことには変わりありません。それにしても彼は、Coccoの音楽に欠かせないギタリストになりましたね。)でもびっくりした。
前回の「エメラルド」のツアーでは、「エメラルド」の曲と、休業前のヒット曲、「首。」など『ブーゲンビリア』の収録曲2曲という組み合わせてで、SINGER SONGERの「ばらいろポップ」はもちろん、「ザンサイアン」、「きらきら」当たりの曲は歌われなかった。しかし今回は「音速パンチ」も「甘い香り」も歌われた。
SNSのコミュニティでセットリストが挙がっていた。僕の記憶よりは正確だろう。

1.カウントダウン
2.強く儚い者たち
3.Raining
4.雲路の果て
5.樹海の糸
6.ポロメリア
7.けもの道
8.星に願いを
9.羽根〜lay down my arms〜
10.Rainbow
11.焼け野が原
12.ガーネット
13.blue bird
14.初夏凛々
15.花柄
16.音速パンチ
17.甘い香り
18.ニライカナイ
19.絹ずれ
20.玻璃の花

MC

21.新曲?

http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=394&page=1&id=65238877

面白かったのは、MCが最後のほうまで入らなかったこと。Cocco曰く、忘れていた、とのこと。僕は全身全霊をかけて歌う彼女の姿勢が好きなので、MCなんて最小限でいい。予想外の選曲は選曲は少なかったが、それでも僕は大満足。


なお僕はライブに行くと、つい観客も観察してしまうのだが、Coccoのライブではやはり彼女と同世代か少し下ぐらい女性が多い。もちろん男性がいなかったわけではないが。開場を待っていると、「周りでCoccoを聴いている人が少なくて…」なんて会話が聞こえてくる。SNSか何かで知り合った人たちだろうか。初対面らしき2人がチケットと現金を交換しているのも見た(「エメラルド」のツアーでは僕は買うほうだった)。列をつくって並んでいるとき、前の女性は「会社でかけられない」と。そりゃ「カウントダウン」とか「WAY OUT」とかはね…。いつもの通り、缶バッチなどの入っているガチャガチャも置いてあって、女性ファンたちは、それぞれ当たったものを交換していた。僕はもちろん、グッズ類はスルーした。終了後、会場を出て駅に向かって歩いていたとき、すぐ後ろの女性は「(それぞれの曲が)出たときのことを思い出すだよね」と言っていた。
僕もそうだ。「強く儚い者たち」を聴くと……「初花凛々」では……。
「きらきら」とそのツアーのとき、僕の体調は最悪だった。その後、故郷で療養生活を送っていたときもずっとCoccoを聴いていた。「ザ・ベスト盤」に「風化風葬」が入ったのはうれしかった。「今は動けない足でいつか」。今日のライブでは「風化風葬」は歌われなかった。思い入れのある曲なので残念だったが、それでよかったかもしれない。ほかの曲で十分すぎるほどの感動が得られたので。(なおCoccoのライブは、基本的に僕のための場ではない、という一種の謙虚さを僕は持っている。)
次に行く予定のライブは、11月のMOGWAI元ちとせかな。楽しみ。