『PLANET OF THE APES/猿の惑星』

いわずと知れた『猿の惑星』のリメイク。ティム・バートンが監督して2001年に公開されたが、あまり評判はよくなかったらしく、その続編はつくられていない。10年ぶりに観てみたところ、リメイクとは言い難いほどオリジナルとは違う作品になっている。
宇宙船に乗った主人公は、着地用小型宇宙船である惑星に不時着する。そこには人間がいた。しかしそこにサルたちがやってきて人間たちを捕まえる。ほかの人間とは少し様子が違う主人公は、人間びいきの雌ザルに気に入られ…というところはオリジナルとほぼ同じ。
サルたちのごく一部は何かを隠しているらしい。いろいろとあって、主人公たちは森の奧にある禁断の聖地にたどり着く。そこにあったのは、主人公が乗っていた宇宙船の変わり果てた姿で、自分は宇宙船よりもはるか未来に来たことに気づく。サルたちは、宇宙船で人間たちに飼われていたものの子孫だったのだ。
しかし、人間たちが、宇宙船の乗組員たちの子孫なのかどうかは判然としない。宇宙船に残されたメッセージによれば、反乱を起こしたサルたちに殺されてしまったようなのだが…。
サルの軍隊がやってきて、宇宙船に集まってきた人間たちと戦闘になる。そこに空からやってきたのは…。そして最後に主人公は故郷の地球に戻ったのだが、そこは…。
オリジナルと違って人間たちは話すことができ、知性もある。にもかかわらず、サルたちに支配されているのは、いまひとつ説得力に欠ける。またサルたちは、オリジナルよりもサルっぽい。人間だったら、前足、つまり手でやるようなことを、足、つまり後ろ足でやっていたりする。そういうところはそれなりに面白かったのだが、観客を笑わせようという意図があると思われるところは笑えなかった。文明批評的な要素もないわけではなかったが、やはり人種問題がいまよりもずっと残っていたころにつくられたオリジナルには足下もおよばなかったようだ。その結果として、商業的にも失敗したのだろう。