『不死細胞ヒーラ』

書評紙『図書新聞』10月15日号(3034号)5面にて、レベッカ・スクルート著『不死細胞ヒーラ』(中里京子訳、講談社)の書評を執筆しました。題名通り、世界で初めて培養に成功したヒト細胞「HeLa細胞」の歴史と、それを採取されたヘンリエッタ・ラックス、そしてその家族たちの人生を描いた本です。

世界で初めて“不死化”された細胞とそれを採取された女性、そしてその家族の物語――アメリカ史の暗部に光をあて、同時に科学や医療のあり方に再考を促してもいる
評者◆粥川準二
不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生
レベッカ・スクルート 著 中里京子 訳
講談社

http://toshoshimbun.jp/books_newspaper/week_article.php

不死細胞ヒーラ  ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生

不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生

僕はES細胞のことを調べているうちにHeLa細胞のことを知り、最初、歴史人類学者ハンナ・ランデッカーの論文などを読んでいたのですが、ある人からスクルートがヘンリエッタの伝記を書こうとしていることを教えてもらいました。5年ぐらい前のことでしょうか。やっと最近になって原著が書かれ、そして待望の翻訳書が出ました。
そうしたことを差し引いても、ここ数年読んだノンフィクションのなかで、最も強く印象に残る作品です。
原著の裏表紙では、『ファストフードが世界を食い尽くす』(草思社)で知られるエリック・シュローサーが、この作品はフィリップ・K・ディックエドガー・アラン・ポーの作品を彷彿とさせる、という推薦文を寄せているのですが、僕にはフォークナーなどの南部ゴシックを思い出させました。
みなさんもご一読ください。
The Immortal Life of Henrietta Lacks

The Immortal Life of Henrietta Lacks

Biotechnology and Culture: Bodies, Anxieties, Ethics (Theories of Contemporary Culture)

Biotechnology and Culture: Bodies, Anxieties, Ethics (Theories of Contemporary Culture)

Culturing Life: How Cells Became Technologies

Culturing Life: How Cells Became Technologies