『フラメンコ・フラメンコ』

昼過ぎ、渋谷のショウゲート試写室で『フラメンコ・フラメンコ』 http://t.co/tvOvaLFj という映画の試写を観る。フラメンコとは、周知の通りスペインのアンダルシア地方の民族芸術で、歌と踊りとギターから成る。ヒターノ、すなわちいわゆるジプシーたちが生み出したものらしく、そのヒターノは、インドから中東を通ってスペインにやってきたらしい。フラメンコの響きにどことなくインドやアラブの雰囲気を感じるのはそのためだろう。
この作品は、フラメンコの巨匠と若手スターたちの共演を、美しい衣装やセットを含めて、映画としてまとめたもの。残念ながら僕はこの分野に疎く、知っているのはパコ・デ・ルシアぐらいだっただろうか。全部で21曲。
フラメンコは歌と踊りとギターから成る、と書いたばかりだが、なかにはピアノ2人と歌のみのものなど、3つの要素のうち1つないし2つがないものもあった。僕としては、歴史も含めて解説的な部分もほしいなと思ったのだが、こうしたアート系映画の場合、そうしたシーンを付け加えるべきかどうかは議論のあるところだろう。
先に述べた通り、僕はフラメンコについてよく知らないので、あまり批評らしいことはいえない。しかし、僕の好きなもののなかでは、たとえばイエスのギタリスト、スティーブ・ハウは、おそらくフラメンコに影響を受けているはずである。また、ヴェンダースの『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』で紹介されたキューバ音楽も、おそらく部分的にはフラメンコの影響を受けているだろう。プレスキットによれば、フラメンコ自体、さまざまな文化が融合して生まれたものらしい。
スペインに詳しい作家の堀田善衛はどこかで、純粋な文化など存在するのだろうか、といったようなことを提起していた。融合、そのこと自体が文化なのだろう。