『ヒューゴの不思議な発明』

いつものシネコンで『ヒューゴの不思議な発明』を観る。諸事情で簡単に。いわずと知れたマーティン・スコセッシの3D作品、しかもファンタジー。どちらもスコセッシのからは想像しにくいが、とにかく観てみた。
舞台は1930年代のパリ。父親を亡くした孤独な少年が、父が博物館で見つけたという機械人形を修理しようとする。その人形にはハート型の鍵穴があるのだが、少年はその鍵穴に合う鍵を持っている少女と偶然知り合う。そして機械人形を動かしてみたところ、それはある絵を描き、サインを残す。そのサインとは…というように、少年は父親の、少女は名づけ親の過去を知ることになる。それは映画の黎明期の歴史そのものだった。
映画の発明者というと、リミュエール兄弟やエジソンを思い出すが、この映画で描かれるのは、数々の映画技術を発明したことで知られるジョルジュ・メリエスの数奇な生涯。原作の小説『ユゴーの不思議な発明』でも、かなり史実に沿って描かれているらしいので、この映画でも、少年や少女の物語は創作だろうけど、メリエスや映画の歴史については史実に基づいていると思われる。
「映画への愛」が描かれている、というコピーやレビューは、確かにその通りだが、僕としては、(少女の)「本への愛」が描かれていることにも感心した。
なお少女の顔には記憶があると思ったら、『キックアス』の子でしたね。また駅に住む少年という設定は、池澤夏樹の小説『キップをなくして』を思わせた。
スコセッシがファンタジーなんかつくれるのかと思っていたのだが、杞憂だった。この映画に登場する人物や映画などの史実についてはいつか調べてみたい。